NGT山口真帆事件と企業のリスク管理 | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

NGT山口真帆事件と企業のリスク管理

企業のガバナンス強化、コンプライアンス(法令順守)やIRなどの重要性に着目し、その充実・発展に資する活動に従事してきた私にとって、NGT48事件と関係企業の行動については、見逃せない重要事例としてその帰趨を見守ってきました。

 

1月にメンバーの山口真帆の自宅に押しかけた男性ファン2人から暴行被害を受けたことをSNSなどを通じて告白し、NGT48の管理体制の甘さが露見したほか、山口の告発によって他メンバーの事件への関与も明らかになったことから、関係企業側にも余波が拡大、1月15日には一正蒲鉾がCMの放映の差し控えを発表したほか、新潟商工会議所やローソンなどもNGT48とのコラボ企画の動画を非公開化するなど影響は拡大するも、当事者からの明確な説明や責任追及などは未だ行われていません。

一正蒲鉾はその後CMを再開させることもなく、問い合わせたというファンが、「一正蒲鉾さんスポンサー降りたそうです。素晴らしい対応」として一正蒲鉾のコメントを公開したことを契機に、「素早い対応、素晴らしい」、「危機管理のお手本」、「新潟市にも見習ってもらいたい」等の称賛の声が出ていることが報じられています。

 

一正蒲鉾は東証一部上場企業ですから、機関投資家から個人に至るまで、広く遍く資金を調達する以上は「公器」の一種とみなされるのは当然です。


よって、法令遵守が確立しておらず反社会的な臭いがする怪しげな興行活動に対し、そのスポンサーシップを維持し続けるなどということは、自身の資金調達や風評による売上高・収益へのマイナスインパクトのみならず、企業倫理・コンプライアンスの観点からもあり得ません。


そのようなことを続ければ、投資家からの信認を失い、資金調達に支障を来す事態にもなりかねませんので。
 

この事件の真相解明もなく、十分な説明もなく、責任追及もなく、曖昧なまま何とかやり過ごそうと当事者がいくら頬かむりを続けても、彼らの目的が営利追求、つまり金儲けである以上は、この市場原理から逃れることはできませんし、こうした市場の自浄作用があるからこそ、マーケットは成り立っているのです。


したがって、本件の当事者は、いち早くその説明責任を果たさなければ、他のグループの活動等にも悪影響が及ぶことは必定なのですが、これまでのところ、彼らにそうした自覚が芽生えているとは思えないことは残念ですね。


確かに、マスコミを騒がせる事件が起きても、だんまりを決め込んで何とかなってしまっている(ようにみえる)上場企業の事例が過去において皆無ではありませんが(例:幹部社員<プロデューサー>と出演女優が不適切な関係にあったとされる関西の放送局など)、当該企業は必ずどこかでそのツケを払わされると思います。

https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12184-46215/?fbclid=IwAR0KUhSJjAXD6mWOIaNGYGPaakwsWLCjjwa28uDnhkL1lWn8Vps2vrcQcEQ