栄典制度見直しについて | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

栄典制度見直しについて

政府は、叙勲や褒章などの栄典授与のあり方を見直す有識者懇談会の初会合を首相官邸で開き、夏までに見直し方針をまとめ、早ければ秋の叙勲・褒章から反映させると報じられています。

栄典制度の見直しは、2003年に等級の簡素化など(勲何等というランク付けをやめて○○章だけにする等)を行って以来のことで、初会合の出席者からは、「女性や中小企業出身者らの授与を増やすべき」との意見が出されたようです。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160211-OYT1T50035.html?from=ytop_ylist

無論、大企業ばかりではなく、女性や中小企業出身者にも光を当てることは当然なのですが、私はそれと共に是非ともやるべきことがあると考えています。

それはすなわち、「法人税を納めていない企業の経営者」あるいは「公的資金が注入された企業の経営に深く関与した者」については、どんなに業界団体の役職などを長く務めていても、叙勲の対象からは除外すべきという基準の導入です。

無論、女性であるとか中小企業出身であるとしても、適切に納税義務を果たしていない人には栄典を与えるべきではないと思います。

実のところ、誰もがその名を知る有名大企業でありながら、その実態は社会的な仕組みを維持していくためのコストである税が負担できないほど企業活動が不活発であるとか、利益を上回る損失を出し赤字を計上したとか、或いは酷い場合には節税のために決算調整をうまくやったとか、こうした類の会社は決して少なくありません。

しかし、この基準を栄典制度に組み込んでしまうと、都合が悪い人が少なくないということで、これまでにこのモノサシは意図的に無視されてきたように思われます。

このような企業の経営者に限って、いつまでもトップの座に居座って後進に道を譲ることを拒むといった「老害」を垂れ流したり、業界団体や財団のトップに君臨して矢鱈と威張りたがったり、勲章等の名誉を得たがったりするものです。

こうした輩を一掃し、社会的コストをきちんと負担した企業経営者に対して、国が栄典を授与するというのは、資本主義・自由経済を標榜する国として当然のあり方ではないでしょうか。今回の「有識者懇談会」メンバーの良識ある議論を期待しつつ見守りたいと思います。

みなさまの御意見をおきかせください

【参考】
時代の変化に対応した栄典の授与に関する有識者懇談会構成員
(五十音順、敬称略)◎:座長
氏名主な役職
    奥山    恵美子仙台市長
    滝澤    美帆東洋大学経済学部准教授
    谷口    智彦慶應義塾大学大学院教授
内閣官房参与
    名和田    是彦法政大学法学部教授
    萩原    なつ子立教大学社会学部教授
・21世紀社会デザイン研究科教授
    牧原  出東京大学先端科学技術研究センター教授
◎ 山下      徹前 (株)NTTデータ社長
内閣府公益認定等委員会委員長