第3次安倍内閣発足へ | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

第3次安倍内閣発足へ

第3次安倍内閣の閣僚名簿が固まったようです。
http://mainichi.jp/select/news/20151007k0000e010266000c.html

本来ならば圧倒的なトップニュースとなるのが当たり前のところ、不運(?)にもノーベル賞フィーバーと重なりやや影が薄くなってしまいましたが、こちらは国民的慶事なのでそれも致し方ないでしょう。

現段階で私が個別の人事にコメントすべきこともありませんが、ひとつだけ言えるのは、日本もようやく「大臣が1年でコロコロ変わる、あてにならない国」という国際的なイメージが変わりつつある可能性がでてきたということでしょうか。

折角、当選回数を積み重ねて大臣ポストを射止め、官僚たちから所管事項の説明を受け、来年度予算を組み、国会答弁デビューし、役所の人事に多少なりとも関与するようになって、ようやくその役所の仕事が分かってきた頃には「人事刷新=内閣改造」ということで辞表を書かされる・・・。

こうした他の先進国からすれば常識では考えられないような「超短期の繰りまわし人事」によって、本来、継続性や閣僚相互間の人格に根差した信頼関係構築が鍵となる外交や国際交渉において、「組閣の度に『初めまして』の名刺交換からスタートしなければならない」ハンディキャップを抱え、諸外国からの信認を得ることが難しいシステムになっていることは、日本が長きにわたって指摘され続けてきた課題でした。

かつて、小泉純一郎総理も「一内閣一閣僚」を掲げて、これを断行しようとしましたが、郵政民営化というライフワークを優先したために、人事においては、あれほどの高い支持率を誇りながらも、一切の妥協を許さずに初志貫徹というわけにはいかなかった。それほどまでに閣僚人事は政権を左右する重大な要素になっています。

それが今回の人事では、国際交渉の前面に立つ外相やTPP担当相はもとより、G7やG20に出る副総理・財務相、官房長官や総務大臣も留任させたことは、政策の継続性を担保する上では、有効な国際的アピールになった可能性は否定できないでしょう。

その一方で、60名を超えるといわれる、閣僚ポスト待機組の自民党議員たちがこのまま黙って政権運営に唯々諾々と協力し続けるのか、という点も気になります。

ただ、かつてハト派とタカ派に分かれて、党内の意見集約が難航を極めた自民党も、いまや安保関連法案をあっさり機関決定して党内を一本化し、総裁選挙も安倍総理が無投票再選、というところまで求心力を高めているのですから、こうしたリスクは顕在化することなく、当面は安倍総理の思い通りに進むのかも知れません。

いずれにせよ、国民にとっては、今回の組閣人事を契機とする権力闘争の激化などは何のメリットも感じないでしょうから、大切なのは、この新内閣がどのような仕事をし、国民全体の厚生を高める成果を挙げることができるかということに尽きます。

私も、今後とくに経済政策の側面を中心に、その手腕をしっかりと見極めていきたいと思っています。