衆院選公開討論会で何をきくのか | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

衆院選公開討論会で何をきくのか

 2012年もあと1ヶ月余というのに、世間は衆議院総選挙を控えて「政治ショウ」一色の様相を呈しています。日を追う毎に政治勢力の離合集散が起こり、このところ毎日のように新しい政党が誕生するという異常事態になっています。こうした中で、国民が選挙を通じてしっかりと自らの代表を選び出すためには、どうすればよいでしょうか。

 まずは、各政党が矛盾のない政策体系を練り上げ、具体的な項目や財源などと共に国民の前に「マニフェスト」あるいは「政権公約」などの形でしっかりと提示することが重要です。これがないと、有権者は誰に投票して良いのか、まったく判断がつきません。

 次に総選挙終了後に招集される特別国会で必ず行われる「首班指名」、すなわち内閣総理大臣の指名に際して、その政治家は「誰が首相にふさわしいと思ってその名前を書くのか」ということも、あわせて明示されるべきと考えます。日本は米国のような大統領制ではないため、有権者個人が行政のトップを直接選出することができません。その代わりに、自らの代理人として国会に送り込んだ議員たちによって、間接的に首相を選出させるのが、日本のシステムですから、誰かの名前を書く以上、有権者に対して説明責任を負うのは当然のことです。とくに小政党の場合、1回目の投票では自分の党首名を記するにせよ、2回目はどうするのか、これは悩ましいけれどもとても大切な判断となります。これを曖昧にしたまま、選挙で国民に信を問うというのは許されません。具体的な氏名が難しければ、せめて条件や判断基準だけは明らかにされるべきではないでしょうか。

 また、ほとんどの有権者は、自分の選挙区から議員を選出するにあたって、「直接、候補者当人の姿を見て、声を聴き、政策を語らせて、その人格・識見を吟味する」なとどという機会を得ることなく、投票日を迎えることになってしまいます。判断の材料といえば、掲示されているポスターや、配布される選挙公報や、マスコミ報道、それにインターネット上の情報くらいというのが実情です。

 こうした中で、全国の青年会議所では、全国の有権者に対して、可能な限りインターネット上で情報提供をしていこうという取り組み(彼らはこれを「e‐みらせん」と呼んでいます)を進めているほか、全国の各選挙区において、地元の青年会議所が衆院選候補予定者を集めて政策討論を行なってもらう「公開討論会」の準備を進めています。みなさんの地域で公開討論会が実施されるのかどうか、詳しい情報はぜひインターネットで青年会議所のページにアクセスして確認して下さい。そして、「公開討論会」にぜひとも足を運び、直接その目で政治家を吟味していただきたいと思います。

 わたくしは、2004年からこの「公開討論会」の開催趣旨に賛同し、積極的にその開催を後押ししてきました。今回も、全国の選挙区のうち数箇所におじゃまして、公開討論会のコーディネーターを担当します。今、決まっているのは、神奈川11区(三浦市)、神奈川12区(藤沢市)、神奈川13区(大和市など)、静岡3区(掛川市)、北海道8区(函館市)などです。お近くの方はぜひ足をお運び下さい。会場で皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

 ところでこの「公開討論会」ですが、選挙公示が迫っていることから、来週から順次、各地での開催がスタートするようです。しかしながら、討論会の準備が佳境に入っているなかで、政治家たちはといえば、政策づくりよりも政党の離合集散の渦の中で闘争を繰り広げることに躍起になっているようです。これでは討論のもっとも重要な材料となる「マニフェスト」や「政権公約」が後回しになるのも当然で、未だに一部の党のものしか発表されていません。そうなると、この状態で抽象論ではない実のある「討論会」を実施するのはなかなか難しい課題となっています。

 そこで窮余の策として、わたくしは「国民にとって関心が高いテーマを優先して討論する」というスタイルを考案しました。参考にしたのは、11月19日に公表された、NHKの世論調査結果です。それによれば、衆院選で有権者が投票するにあたって、最も重視することは何か聞いたところ、「経済対策」が33%と最も多く、次いで「社会保障制度の見直し」が22%、「原発のあり方を含むエネルギー政策」が9%、「外交・安全保障」が9%、「行政改革」が9%などとなりました。

 これを踏まえて、わたくしの公開討論会の進行手順としては、

(1)パネリスト自己紹介、総選挙後の首班指名では誰に投票するか

(2)民主党政権3年余の評価と今回総選挙で何が問われるのか

(3)重要政策上位3項目

(4)経済政策(TPPや金融政策、公共事業政策を含む)

(5)社会保障のあり方

(6)エネルギー政策(原発のあり方を含む)

(7)外交・安全保障政策

(8)その他(教育・地方分権・政治改革等)

(9)最後に有権者に訴えたいこと

という順番で、討論を進行していきたいと考えていますがいかがでしょうか。

 勿論、各党のマニフェストが早々に出揃えば、それを最大限に活用して討論を進めることは当然のことです。

 みなさまのご意見をお待ちしております。