ソクラテスならどうするか | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

ソクラテスならどうするか

総選挙後の連立協議が決裂し再選挙が実施されることになったギリシャでは、政治的、経済的な先行き見通しが混迷する中、「ギリシャが早ければ6月にも債務不履行(デフォルト)に陥り、ユーロ圏からの離脱を余儀なくされるのではないか」との不安心理を背景に、国民が金融機関から預金を引き出す動きが広がっており、当局からは、「(現時点で)パニックは起きていないが、パニックに発展する恐れはある」との見方が示されるなど不透明感が漂っている。


しかしながら、よく考えてみれば、先の選挙でユーロ圏残留のための緊縮財政実施を回避し、「痛みを負ってでもユーロ圏に止まるような我慢はしたくない」との選択を下したのはギリシャ国民である。それに加えて今度は、自ら下した政治的決断に端を発するリスクが個人レベルに及ぶのを何とか回避しようと、銀行から金を引き出す行動をとっているのもこれまた同じギリシャ人というわけである。つまりは、これら一連の動きは、自らの意思決定により生じた、当然の結果が招いたことに他ならない。


こうなると、ギリシャはユーロ圏にとどまることはいっそう難しくならざるを得ないのではないか。一時的に公的・国際的な資金支援によって、ギリシャの銀行は破綻を免れたとしても、根本にある財政均衡に向けた国民の努力が期待できない状況となれば、ユーロ圏内あるいは国際的な支援の枠組みは、どうしても腰が引けたものにしかなり得ないからである。


「天は自ら助くるものを助く」の格言通り、当のギリシャ人が自分のお金の保全のことしか考えていないのであれば、国際社会は余計なお節介の焼きようもないわけである。歴史上、名だたる才人を多数輩出してきたギリシャであるが、未曾有のこの危機に臨んで、彼らがどのような振る舞いをするのか、国際社会が固唾を呑んで見守っている。そして、この顛末は、日本にも少なからず影響を及ぼすことになるだろう。


http://www.cnn.co.jp/world/30006610.html