民主党代表選 | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

民主党代表選

何はともあれ民主党代表選が終わり、菅直人代表が再選されました。これでひとまず、「日本は総理大臣が頻繁に交代させることを躊躇しない、まったく落ち着きのない国だ」という説が現実のものとなり、世界中の笑いものとして恥の上塗りをする事態だけは回避されました。


誤解のないように申し上げておけば、私は、菅さんこそが絶対的に総理に相応しい思っているわけではなく、逆に小沢一郎さんでは絶対にダメだと考えているわけでもないのです。ただ、少なくとも今回は、就任3ヶ月の総理を、何が何でも引き摺り下ろさねばならないという理由はなかったように思われます。その意味で、今回の代表選の結果を受けて、民主党関係者の良識に敬意を表したいと思います。


それにしても、菅さんが選挙運動期間中に訴えていた経済政策はいただけません。「1に雇用、2に雇用・・・」と述べていましたが、成長なくして雇用が創出させないことは自明です。仮に経済成長を実現せずに雇用だけを増やすとした場合、仕事量一定のもとで労働者を増やすのですから当然、仕事を分け合う「ワークシェアリング」をせざるを得ず、1人あたりの所得は大幅に減りますので、消費の低迷に拍車をかけ、デフレ圧力になるリスクが高まります。そうでないとすれば、いったいどのように成長を実現するのかが、最後までクリアになりませんでした。


報道などをみると、菅さんは、医療・介護・環境・観光関連産業を伸ばすことにより成長を実現するとしていたようですが、その具体的な手法や道筋、政策効果(金額)なども何も示されておらず、これでは裏付けのない政策の羅列と受け止められても致し方ありません。また、現状の円高・デフレの状況をどのように解釈し、どのような対応をとるのかについても、明快な処方箋を提示できなかったように思います。


せっかく立ち上げた成長戦略会議を最大限に活用することはもちろん、今やただの「政府内シンクタンク」に成り下がってしまった国家戦略室の活用を再検討するなど、これまでの政治空白を埋めるべく、全力で経済政策に取り組んでほしいものです。


ちなみに、小沢一郎さんの提示した政策には地方一括交付金制度など、見るべきものがありました。これらを菅政権で採用するなどして、人事ばかりでなく政策面でも挙党体制をつくる努力をしてほしいところです。