「公務員人件費2割削減」はどこへいった | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

「公務員人件費2割削減」はどこへいった

今日は先週に引き続き、TBS「みのもんたの朝ズバッ」に出演させていただきました。私以外のお二人のコメンテーターも先週と同じ顔ぶれということもあり、打ち解けた雰囲気の中で臨むことができました。朝5時半からの3時間という長丁場ですが、本番が始まるとあっという間に終わってしまいますね。


さて今日は、民主党による事業仕分けの第2回目が行われるほか、自民党を離党して改革クラブ入りした舛添要一参議院議員が党名改称の記者会見が予定されることもあり、番組のニュース部分の多くをこうしたテーマが占めることになりました。


事業仕分けは、昨年に引き続き、国民の観ている前で国の税金の使い方を検証するというもので、それ自体はなかなか面白い試みであるといえるでしょう。


前回、これを機に内閣支持率が上昇したことから、高速道路問題などで政策面での迷走により徐々に国民の信認を失いつつある鳩山政権にとっては大事な「支持率浮揚のチャンス」と位置づけられているようです。


しかし、国民もバカではありません。この事業仕分けがどこまで徹底されているのか、仕分け対象にできないものにもきちんとメスが入るのかといった、「見えない部分」にも当然関心が向けられていることを忘れると、せっかくの事業仕分けも効果半減どころか、政権の命取りにもなりかねません。


また、私が番組で指摘しましたように、単に独立行政法人のみを取り出して、その歳出を厳しく精査したところで、公共セクター全体の歳出構造をスリム化できなければ、本当の意味での全体の問題解決にはなりません。


そのためには、民主党が昨年の選挙時のマニフェストにおいて国民に約束した、「公務員人件費の2割削減」をきちんと実行することが、すべての議論の前提となることを踏まえなければなりません。仮にある独立行政法人の1つの事業を廃止して、国が直接行うようにと裁定しても、その事業を吸収する国本体の人件費は2割減るのだという前提に立たなければ、徒に官の部分を肥大化することにもなりかねませんので。


しかしながら、この「公務員人件費の2割削減」は、私がみるところ、民主党マニフェスト2009のなかでは、もっとも実現が難しい約束であると思われます。その難しさは、公務員労組の支援を受ける現政権にとっては、高速道路無料化の比ではありません。


いずれにせよ、この事業仕分けは本日を含めて4日間にわたり実施されるとのことですので、この間にこうした問題がどの程度クリアになるのかにも注目していくことにしましょう。


翻って「新党改革」ですが、これは現時点で殆ど論評に値しないでしょう。名称は新党でも単なる名称変更ですから新味がありません。その成り立ちの背景を考えれば、既成政党の数合わせに舛添氏が合流し政党交付金の受け皿機能を維持する一方で、彼の知名度を梃子にして今夏改選を迎える参議院議員が何とか延命しようという思惑が一致したに過ぎず、政策をきいても殆どみるべきものはありませんでした。


なにしろ、小泉郵政改革路線に肯定的な舛添氏と、これを真っ向から否定して自民党を飛び出した荒井氏が、一緒に「政策集団」を立ち上げるという滑稽な構図なのですから、何とも言い訳のしようがありません。せっかく政策通の舛添氏がおられながら、何と寂しいことよとガッカリした方も少なくないのでは・・・・。