新党ブーム | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

新党ブーム

このところ政界では、平沼新党(たちあがれ日本)や、山田宏・杉並区長らによる首長新党といった、新しいグループの創設が相次ぎ、さながら「新党ブーム」の様相を呈しています。


確かに参議院選挙を7月に控えている現状からすると、3ヶ月前の今頃が事実上のエントリーのリミットになるので、ここにきての新党設立が相次ぐのは当然の成り行きなのかもしれません。


しかし、現政権の支持率がじりじりと下落し、政治と金にまつわる国民のフラストレーションが依然として払拭されていないとはいえ、ここにきての急な新党ブームは、どうも腑に落ちないと感じる人も少なくないでしょう。


今回の動きをよくよく目を凝らしてみると、「現状、政権・与党とは反対側にあって、その中でも自らのポジションを確定できていない人々による、居場所づくり」といった感じがしないでもありません。実際、野党サイドからいくら「政界再編」を唱えても、現実に権力を持った民主党サイドにくさびを打ち込まない限りは大きな変化を起こすのは困難でしょう(現に民主党は、この動きを表向き冷静に受け止めています)。


実際のところ、平沼新党については、昨秋の衆議院総選挙で自民党が政権の座から陥落したショックが癒えないなかで、年齢的に4年後のリベンジを待つ時間的猶予のない方々の焦燥感が見て取れ、政策で一致できない議員が集まって、一か八かの賭けに出ているような印象も受けます。


他方で首長新党については、詳細は未だ不透明ながら、巷間囁かれる「横浜市長という大任を途中で投げ出したと強い批判に晒されている中田宏氏や、山形県知事を務めながら2期目に落選の憂き目をみて浪人中といった方々に参議院転身の道を用意するための苦肉の策」との指摘がまったく的外れとも言い切れないところでしょう。


ただ、首長新党の場合は、「中央(国)から地方へ」、「地域主権」といった、誰も反対する余地のない政策上の「錦の御旗」を掲げることができるので、政策の軸がよく見えない「たちあがれ日本」よりも国民に受ける傾向はあるといえるかもしれません。


いずれにしても、「理想とする政策や政治思想を共有し、その実現を目指そうとするグループが政党である」という原則に立ち返ってみれば、これらの「新党」は、本当の意味で政党としての体をなすのか(あるいは単なる「互助会」なのか)どうかも、現状では疑わしいと言わざるを得ません。今回の動きを含めて、今後、参議院選が迫るにつれ、さまざまな政治グループ(泡沫政党を含めて)の出現もあるでしょうから、有権者としては、ここはひとつ、じっくりと目を凝らして成り行きを見守る必要がありそうです。