公訴時効の見直し | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

公訴時効の見直し

法務大臣の諮問機関である法制審議会の専門部会は、殺人など死刑に相当する罪の時効を撤廃するとともに、傷害致死罪などの時効も原則2倍に延長することを柱とする答申案を決め、あわせて新制度施行時に時効が成立していない過去の事件にさかのぼって適用することも答申に盛り込んだと報じられています。


これが正式に法案化されて成立となれば、従来から殺人などの凶悪犯罪を含むすべての犯罪に時効(公訴時効)を定めてきた刑事政策の大転換となり、画期的なことだといえるでしょう。


毎年年末になると報道される「世田谷一家殺害事件」など、凶悪事件でありながら犯人がいっこうに検挙されない事件が目立つようになりました。これ以外にも、公訴時効を迎えて被害者家族にはやりきれない思いが残る事例も散見されますので、この際、諸外国に倣って公訴時効の見直しを図ることは、現状に照らして妥当な方向性ではないかと思われます。


しかし、当然のことながら重要なのは、公訴時効を延長すること自体ではありません。犯罪を犯した人間を警察当局は速やかに検挙すること、これこそが基本であって、それが捗々しくないからといって時効の延長・廃止を模索するというのでは、議論があべこべになってしまいます。したがって、凶悪犯罪に対する公訴時効の延長・撤廃の議論とあわせて、いかに警察当局による凶悪犯罪に係る検挙率を上げていくのかという議論もしっかりとなされるべきことはいうまでもありません。