経団連次期会長人事 | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

経団連次期会長人事

報道によれば、日本経団連の次期会長人事が曲折の末、住友化学会長の米倉弘昌氏(日本経団連評議員会議長)が就任することで決着したようです。


当初は、御手洗冨士夫会長(キャノン会長)の後任人事は、これまでの慣例倣って、いわゆる財閥系や金融業からの起用は避けるほか、副会長の中から選任されるとの見方が有力で、現会長も「現役の副会長から選ぶ」との方針を示したうえで、東芝の西田厚聡会長を最有力候補として調整が進められていたようですが、既に東芝からは岡村正相談役が日本商工会議所会頭を務めていたため、「経済3団体のトップのうち二つを東芝が独占することは望ましくない」との懸念から結局、西田氏の起用は最終的に見送りとなったようです。

米倉氏のように評議員会議長から会長に就任するのは異例の人事だそうですが、別の理由として、住友化学が黒字決算であることも重要な要因とされています。他の候補として浮上した人物の所属企業の多くは、2010年3月期決算で最終赤字を見込んでいるので、もしもこうした企業からの会長就任となれば、株主や世間から「財界活動などしている場合ではないだろう」との批判があがることは必定でしょう。こうした諸点を考慮して、最終的に総合判断から、米倉氏の選任で落ち着いたようです。


経団連に限らず、業界団体や財界トップの人事は、とかく「勲章をもらうためのポスト争い」、「長老がポストにしがみつくために出身企業の人事が停滞する」などと揶揄されてきましたが、企業としての雇用創出や納税といった社会的に重要かつ基本的役割を捨象することは、現在の日本の実情では許容されるはずもありませんので、こうした点を重視してトップ人事を決めたのは、やはり妥当な判断であったといえるのではないでしょうか。