ノーベル平和賞 | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

ノーベル平和賞

ノーベル平和賞がオバマ米大統領に贈られることが決定しました。


ノーベル賞委員会は、選考理由を以下の通り発表しています。


・本委員会は国際的な外交と諸民族間の協力強化に向けたオバマ大統領の比類なき努力を理由に授賞を決めた。とりわけ「核兵器のない世界」の構想とそれに向けた取り組みを重視した。

・オバマ氏は国際政治に新たな環境をもたらし、国連をはじめ国際機関の役割を重んじる多国間外交が中心的な位置を回復した。困難な国際紛争の解決手段として対話と交渉が優先される。「核兵器のない世界」を目指す構想は、軍縮交渉を力強く促した。オバマ氏の主導で、米国は今や、世界が直面する気候変動問題でより建設的な役割を演じている。民主主義と人権は強化されよう。
・オバマ氏ほど、世界の注意をひきつけ、よりよい未来に向けて人々に希望を与えた人はめったにない。彼の外交は、世界を主導する者は世界の大多数の人々が共有する価値と態度に基づいて行動しなければならないという考えに立脚している。
・本委員会は108年間、オバマ氏が今まさに提唱する国際政策を促すことを目指してきた。「今は、地球規模の課題に対処するため、我々全員が応分の責任を果たすときだ」とのオバマ氏の訴えを支持する。


上記の声明をよく読むと、この委員会は、米国を率いるオバマ氏が、超大国アメリカを平和外交へとシフトさせ、国連などにおける多国間外交を重視する方向性を打ち出したことを高く評価しています。このことは言い換えれば、オバマ氏の成し遂げた「成果」に対して授賞したというよりもむしろ、「これから成し遂げようという志」に対する授賞という色彩が強く、これによって、米国はかつてのように自国の利益を最大化することに血道を上げる国に逆戻りさせまいとする強い意思が働いているとみることもできるでしょう。


いずれにしても、オバマ氏がこのノーベル平和賞の授賞理念を決して忘れることなく、核兵器廃絶を機軸とした世界平和を模索し続ける、すばらしいリーダーとなってくれることを期待したいと思います。