ネガティブ・キャンペーン | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

ネガティブ・キャンペーン

衆院選挙もいよいよ終盤となり、まだ投票態度を明らかにしていない有権者が多数を占める中でも、民主党優位との各種世論調査結果が報じられています。こうした中で、現在の政権党である自民党サイドは最後の抵抗とばかりに、本格的なネガティブ・キャンペーンに乗り出しています。


きょう自宅のポストをみましたら、「知ってドッキリ民主党 これが本性だ!!」という小冊子が投げ込まれており、ついにこうした米国大統領選張りの手法も登場したかといささかびっくりしました。もちろん、この小冊子の奥付にはきちんと発行元が「自民党」と記載されていますので、単なる「紙爆弾」、「中傷ビラ」、「怪文書」という類のものとは違います。


内容をみると、民主党マニフェストの給付に関する問題点(とくに財源や負担増となる人について)が一部あるほかは、残り多くの部分が日教組・自治労といった官公労が支援している民主党が政権をとった場合に、国政が官公労の意向に引っ張られて左翼的・大きな政府の方向に転換されるおそれがあること、日本人の「尊厳」(歴史認識や靖国問題、日米関係などを絡めて)が損なわれる恐れがあるといった、ややイデオロギー的な批判にあてられています。


これらの事実関係については選挙中の「攻撃用配布物」だけに100%真に受ける人は少ないかも知れませんが、その内容のウェイトをみる限り、この小冊子の発行意図は、個別の政策テーマを巡る議論よりもむしろ、保守的思想を持った有権者に対し、政権交代を許容する気持ちを思いとどまらせ、保守政党退潮の現状に対する危機感を煽ることに力点が置かれているように思われます。


こうした自民党の作戦が奏功しているかどうかは、投票結果をみなければなんとも言いようがありませんが、個人的には、出所を明らかにして他党を批判するのであれば、むしろ民主党マニフェストに掲げられた、1つ1つの政策の「穴」や抽象的な表現にとどまっている項目についての曖昧さや不透明箇所を指摘するほうが、今日の情勢からみても有効な対抗手段ではないかという気がしています。


それにしても今回の選挙は、各党のマニフェストはもとより、その後も(選挙広報など公式配布物は言うに及ばず)今回のような「冊子」等を含め、政策に関する追加の資料類がゲリラ的に続々出てくるので、政策研究の材料収集としてはなかなか骨が折れます。極力入手して目を通しておくよう心がけてはいるのですが、この調子では最後までまったく気が抜けません・・・。