中国の成長率 | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

中国の成長率

日本はもとより足許の世界的な景気低迷の「救世主」として、中国経済の高成長とそれに伴う各国からの輸出増が強く期待されていることは多くのみなさんがご存知の通りです。


中国のGDP(国内総生産)成長率は、米国金融危機による米国向け輸出減少を主因に、一頃は年率2桁のプラスが当たり前という伸びを続けていた増勢が一転、その後は低下を余儀なくされました。2009年初の第1四半期(1-3月)にはGDP成長率は前年同期比+6.1%まで鈍化(それでもかなり高いですが)しています。


ところが、このほど発表された第2四半期(4-6月)の成長率は、1.8%ポイントも上昇し、年率+7.9%まで回復したと報じられています。これは、昨年11月に打ち出された総額4兆元(約56兆円)に及ぶ景気刺激策が中国の内需拡大に直結し、短期間で「V字回復」を達成したものと中国側は発表していますが、事実とすれば明るいニュースであり、今後もぜひこの基調を維持してもらいたいと願わずにはおれません。


しかし、中国が世界経済の「救世主」となって、急激な経済の冷え込みを緩和する効用は大きいにせよ、逆に日本が余りに中国需要に依存する体質になってしまうとすれば、それは日本の内需拡大に向けて必要な諸施策の検討・実行インセンティブを殺ぐことにも繋がりかねませんので悩ましいところです。


来るべき衆議院の解散総選挙に対応する、各党マニフェストでは、こうした状況を受けて、日本経済の体質改善をどう推し進めるかについての、具体的な政策メニューの提示がぜひとも必要と思われます。


昨日の衆議院選神奈川17区の公開討論会では、こうしたダイナミックなマクロ政策のあり方などに対する議論が全くなかったのは、個人的には少々残念なことでした。