ブルー・オーシャン戦略 | 経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

ブルー・オーシャン戦略

昨日は夕方から高輪プリンス内の一室を会場に、NPO法人日本再生プログラム推進フォーラム (通称:日本再生フォーラム)メンバー8人による小勉強会がありました。


講師は早大大学院で教鞭をとられている新進気鋭の経営戦略家・池上重輔氏 で、近頃経済界で大きな注目を集めている「ブルー・オーシャン」戦略理論を分かりやすく解説していただき、その後、参加者相互に意見交換しました。


従来型の競争市場を「レッド・オーシャン」というのに対し、既存の競争環境とは全く別のところに主体的に需要を創造するのが「ブルー・オーシャン」で、当初は「顧客たり得ない」と思われた層を逆に顧客にしてしまうところがこの戦略が開花した場合のスゴいところです。


例えば、家庭用ゲーム機では、ソニー(プレイステーション3)やマイクロソフト(XBOX 360)が仕掛けた高性能化競争に埋没しかけていた任天堂が、Wiiの開発にこの戦略で成功しています。ゲーム機がどんどん高度化するなかにあって、wiiはまったく逆の発想でロースペックのハードをベースにしつつもWiiリモコンなどの新機軸で、従来ゲームとは縁遠かった中高年層を顧客に取り込むことができました。


ただ、「ブルー・オーシャン」の構成要素は、(1)バリュー・イノベーション(いわゆる従来型の付加価値創造のための「戦略」)に加えて、(2)フェア・プロセス(公正なプロセスを経ること)と、(3)ティッピングポイント・リーダーシップ(梃子を利かせて組織を変え、チームのモチベーションを高める)、が三位一体となって作用する必要があり、とくに(2)(3)は、日本の抱える構造問題とも密接にリンクすることでしょう。それだけに、理論的には理解できますが、その実践にはミクロ・ベースで相当な紆余曲折があるものと想像され、それを乗り越えたものだけが勝ち残れることになります。


私の問題意識は、単にこの「ブルー・オーシャン戦略」を企業経営の着想に幅広く浸透させて日本を元気にしようというだけでなく、世界同時不況によって需給ギャップを埋められない、日本の経済事情のなかにこの戦略をどうやって生かすか、政策面における含意を探ることが重要と考えています。