弘前に筑波大学から教授として赴任した時、Richard Powersの「Echo Maker」を原書で読んでいました。英語で小説を読む努力は今も続けています。この本はカプグラ症候群の主人公を中心に描かれています。カプグラ症候群は「知っているはずの親しい人物が別人にすり替わった」と感じる障害です。
ところで、医学部の1年生の前期で履修する基礎ゼミナールの私の担当(今年は8名の学生)では、いつもニックレーンの「Life ascending」から1 chapterを抄読することにしています。
今年は、第9章の「Consciousness」を読んでいます。今回この章を読む動機としては、ヒトの幸せには、無意識の領域に刻まれる自然感や歴史観が重要ではないかという仮説がありました。
子どもが自分の安全して帰ることのできる「秘密基地」があってはじめて冒険できるように、ヒトも自分のよりどころがあってはじめてチャレンジできます。大人になるにつれ学習によって無意識層には「秘密基地」に似た自然感や歴史観ができて、青年期以降のヒトの幸せに結びつくのではないかと思いました。
「Consciousness」とは何か、「Consciousness」の進化をとおして無意識の領域について考えてみたい、そう思いました。
そうしたところ、この第2節あたりで、カプグラ症候群の話になったのです。なんとも幸せな偶然でしょうか。
果たして、どれほどよい議論ができることか。お楽しみです。