※画像は2012年リリースの八代亜紀初のジャズアルバム『夜のアルバム』のジャケット

※この随筆は2024年1月24日に執筆したものに加筆修正しました。

22日の東京新聞夕刊文芸コラム大波小波に「ジャズも演技も 八代亜紀の才能」という文章が掲載されていた。

憲さん、今日の深夜に起きて何気なくそのくらいコラムを読んだら急に泣けてきた。

そこにはこう書いてあった。

「元々彼女が歌手を志したのは、小学生の時ジュリー・ロンドンの歌を聴いたことによる」

参考

【ジュリー・ロンドン】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%B3

『クライ・ミー・ア・リヴァー』(ジュリー・ロンドン)
https://youtu.be/m_j_vdLgBns?si=bsynJcObue86eD5G

参考

【クライ・ミー・ア・リヴァー】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC

コラムは続けてこうある。

「だが、八代が完全なジャズアルバムを発表したのは2012年の『夜のアルバム』が初めてで、62歳のことだ」

Σ( ̄□ ̄;)ハッ!

ジュリー・ロンドンに憧れて歌手になったというのに、ずっと演歌をうたってきたのね。

八代さんは!

62歳で念願のジャズシンガーとしてデビューしたって訳ね!

偉い!

あっぱれ!

憲さんが八代亜紀の演歌を意識したのは、健さんが主演の倉本聰脚本、降旗康男監督の映画『駅 STATION』をみてからであろうか?

参考

【『駅 STATION』】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%A7%85_STATION

映画を解説するウィキペディアの“概要”にも「劇中に八代亜紀の代表曲『舟唄』が印象的に使用されていることでも知られている」とある通り、八代亜紀の「舟歌」がきわめて効果的に使われている。

そのシーンをウィキペディアをたよりに再現する。

「独り五郎の墓参をしたあと、連絡船の欠航で所在無い英次(高倉健)は、暮れも押し詰まった三十日だというのにまだ赤提灯の灯る小さな居酒屋『桐子』に入った。女手一つで切り盛りする桐子(倍賞千恵子)の店だが、他に客もいない。テレビでは八代亜紀の『舟唄』が流れている。『この唄好きなの、わたし』と桐子は咳いた」

参考

『駅 STATION』より
https://youtu.be/Nf_Ud3hVXEU?si=fuor0wVt_aLBddqb

健さんに、我らが“さくら”こと倍賞千恵子さんがしなだれかかり、テレビで流れる八代亜紀の「舟歌」を口ずさむのである。

憲さん、この映画を高校生くらいの時にみたが、幼いながらも「これが大人の恋なのか!」とひとり合点したものである。

「舟歌」といえば、阿久悠作詞
浜圭介作曲の八代の名曲である。

1979年のレコード大賞は逃したものの金賞に選ばれ、同年の紅白でも大トリで唄った歌である。

参考

【舟歌】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%88%9F%E5%94%84

この「舟歌」もいいが、憲さんが八代演歌で一番好きなのは1977年の紅組のトリを初めて八代が務めた「おんな港町」である。

参考

【おんな港町】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%82%93%E3%81%AA%E6%B8%AF%E7%94%BA_(%E5%85%AB%E4%BB%A3%E4%BA%9C%E7%B4%80%E3%81%AE%E6%9B%B2)

https://youtu.be/L--udzN9AgA?si=d4dKxeALUom2Lwie

♪忘れたいのに、忘れられない、切ない恋よ~♪と八代がコブシを唸らせるところがなんも痺れてしまう!

「長距離便トラック運転手たちから『運転するのに凄くいいんだ』と好評が寄せられ」るのも頷ける話である!

彼女の歌を聴くと労働意欲がわくのだ!

憲さんも仕事をしながら八代演歌をよく口ずさむ。

ところで、この八代亜紀が亡くなった時に憲さんの高校時代のLINEグループでいろいろやりとりが交わされた。

それが以下である。

→みんな演歌に興味ないと思ってたけど、言及されたのでよかったと思う。

→ニューヨークジャズライブダイジェスト
https://www.youtube.com/watch?v=7CpXX76oNJE

Flay Me To The Moon
雨の慕情
You'd Be So Nice To Come Home To
舟唄

ダイジェストだから音楽的にはいまひとつだが、日本のファンにとってはうれしい八代ジャズ入門になっているかと。

→3曲目『来てくれたらうれしいわ』に出てきたのは「ニューヨークのため息」ことヘレン・メリルらしいね。

『朝日のようにさわやかに』はモダン・ジャズ・カルテットの名曲。『朝日の当たる家』とはちがうよ。

→八代亜紀のジャズアルバム『夜のアルバム』がいいんだよ。

→月曜日にジャズバージョンの舟唄をFMでたまたま聴いたよ、かなり雰囲気が違ったね

コラムもこう続けて書いてある・・・

「次作『夜のつづき』はそれ(『夜のアルバム』)以上の出来で、日本の演歌の魂と黒人音楽のソウルを直結することに成功したといってよい」

参考

【夜のつづき】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%A5%E3%81%8D

Σ( ̄□ ̄;)ハッ!

「日本の演歌の魂と黒人音楽のソウルを直結」!?

どういうことだ?

それは?

ということで、憲さんも八代亜紀のジャズを聴いてみた。

やはり初のジャズアルバム『夜のアルバム』からだろう。

参考

【夜のアルバム】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0

●クライ・ミー・ア・リヴァー
https://music.youtube.com/watch?v=NAfpXkGUabM&si=K4WQz4soLt6CMq4O

八代亜紀が歌手を志すきっかけとなったジュリー・ロンドンの歌である。

是非とも両者を聴き比べてほしい。

●サマータイム
https://music.youtube.com/watch?v=DjZN9k9y8Pg&si=IasFoB_0k7U8yU8B

参考

【サマータイム(曲)】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A0_(%E6%9B%B2)

この歌は、前半に「夏になれば豊かになれる、魚は跳ねて、綿の木は伸びる。父さんは金持ち、母さんはきれい。だから坊や、泣くのはおよし」とあるが、この歌詞とは裏腹に1920年代のアメリカの黒人たちの過酷な生活が反映されている。

そして、何よりも圧巻で憲さんを唸らせたのはこの曲である!

●五木の子守唄~いそしぎ
https://youtu.be/XxDsCSxTXIM?si=f5611v7qTKOymH1W

五木の子守唄とは八代亜紀の出身である熊本地方の民謡(子守唄)である。

参考

【五木の子守唄】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E6%9C%A8%E3%81%AE%E5%AD%90%E5%AE%88%E5%94%84

この唄は、子守をする少女が、自分の不幸な境遇を歌詞に織り込み子供に唄って聴かせ、自らを慰めるている。

まさに貧者の労働歌なのだ!

この哀愁を帯びた、日本の子守唄が黒人解放の音楽、ジャズと融合し、八代の声で歌うのである!

まさに「日本の演歌の魂と黒人音楽のソウルを直結」させた楽曲である!

憲さん、感動した!

蛇足だが、八代亜紀は上のLINEの会話にも出てきた『朝日のあたる家』も歌っている。

こちら

https://youtu.be/vbtjY2nHAbc?si=PzZeNwdnCgi34n-m

終始一貫してうつ向いて歌っているのが印象的であるが、やはり八代節が効いている。

ちなみに『朝日のあたる家』とはアニマルズの名曲で有名であり、八代もアニマルズ版で歌っている。

参考

憲さん随筆
マダム・ルソレイユ・ルヴァンの懺悔-名曲『朝日のあたる家』考
https://hatakensan.cocolog-nifty.com/blog/2020/12/post-7d2067.html

コラムに戻る。

表題にもある通りこのコラムでは八代の女優としての「演技」についても言及している。

八代亜紀の出演した映画で思いつくのは、コラムにも「『トラック野郎』への堂々たる客演」とあるように、鈴木則文監督、文太さん主演のトラック野郎第5作『トラック野郎・度胸一番星』であろう。

参考

【トラック野郎・度胸一番星】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E9%87%8E%E9%83%8E%E3%83%BB%E5%BA%A6%E8%83%B8%E4%B8%80%E7%95%AA%E6%98%9F

この映画で八代亜紀は女性トラッカー「紅弁天」として登場しその美声を披露する。

参考

トラック野郎・度胸一番星より
https://youtu.be/fJ5w2zERii4?si=JysNUG7z64aP1nAO

残念ながら憲さんはこの映画をまだみていない!

早速GEOでDVDを借りなければ!

そして、このコラム子はこう書いている。

以下、引用する。

21年にWOWOWで放送されたドラマ『FM999』(長久允監督)で彼女は「総理大臣の女」を演じた。これが、大げさといわれることを覚悟で比較の対象をもち出せば、『サンセット大通り』のグロリア・スワンソンに匹敵する怪演なのだ。この異形の才能をもっとスクリーンで見たかった。

以上、引用終わり。

憲さん、WOWOWなどみることができないのでこのドラマは当然ながらみていない!

参考

<FM999>八代亜紀が“総理大臣の女”に! 超個性的ビジュアルの歌い手ゲストによる歌唱シーンカットが公開
https://thetv.jp/news/detail/1027025/

21年といえば最近である。

八代亜紀晩年の熱演であろう。

憲さんみてみたかった。

ちなみに参考までに映画『サンセット大通り』とはビリー・ワイルダー監督のアメリカを代表する傑作映画である。

参考

【サンセット大通り (映画)】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88%E5%A4%A7%E9%80%9A%E3%82%8A_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

【グロリア・スワンソン】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3

・・・・・・・・・

八代亜紀さんが亡くなった。

憲さんのような昭和生まれの人間の一部は「高倉健」や「阿久悠」「倉本聰」や「鈴木則文」や「菅原文太」で出来ていると言っても過言ではない。

そしてまた、その一部は「八代亜紀」で出来ているのだ。

間違いない。

彼らはもう順番に鬼籍に入ってしまった。

そして、亜紀ちゃんも。

「昭和は遠くなりにけり・・・」

さみしい限りである。

憲さん一回生で八代亜紀の舞台を見てみたかった。

そして、大きな声で「亜紀ちゃーん!」と掛け声をかけたかった。

今晩は「舟歌」を聴きながら炙った烏賊を肴にぬるめの燗酒を飲むことにしよう。

泣きながら・・・。

合掌。

どーよっ!

どーなのよっ?

※文末画像はくだんのコラム