※画像は種子島宇宙センターから発射されたが、打ち上げに失敗した「H3ロケット初号機」
 
まずは下の過去の新聞社説の抜粋を読んでいただきたい。
 
朝日新聞社説
北朝鮮ミサイル 自国民を苦しめる愚行
2023/2/21
 
 今年もミサイル発射を繰り返し、地域を不安定化させ、自国民を苦しめるだけの愚行を重ねるつもりなのか。世界に正当性を訴えたいのであれば、真摯に対話に応じるべきだ。
 
 北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを日本海に発射した。うち18日午後の発射について北朝鮮メディアは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射訓練だったと伝えた。
 
 報道は「目標水域を正確に打撃した」としている。実際に落下したのは日本の排他的経済水域の内側とみられる。燃え落ちる物体は国内でも目撃された。被害報告はないものの、民間の船舶や航空機を危険にさらし、人々を不安に陥れる行為で絶対に容認できない。
 
原文こちら
(社説)北朝鮮ミサイル 自国民を苦しめる愚行
 
もう一本
 
産経新聞社説
【主張】北ミサイルの暴挙 抑止には反撃力が必要だ
2022年11月4日
 
北朝鮮が、弾道ミサイルの発射を異常なペースで繰り返している。日本への実際の攻撃を抑止する上で、反撃能力保有の必要性が一段と明確になった。
 
3日に北朝鮮は弾道ミサイル6発を発射した。いずれも日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下し、船舶に被害はなかった。うち1発は大陸間弾道ミサイル(ICBM)で飛行に失敗した模様だ。
 
原文
【主張】北ミサイルの暴挙 抑止には反撃力が必要だ
 
以上。
 
いずれの社説もこの間の北朝鮮のミサイル発射を批判する内容で、ミサイルが海洋に落下したことについて、「船舶や航空機を危険にさらし、人々を不安に陥れる行為で絶対に容認できない」(朝日)と批判している。
これについては朝日(左)~産経(右)に至るまで同意見らしい。
 
・・・・・・・・・
 
先日の3月7日、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、新型主力ロケット「H3」初号機の打ち上げに失敗したそうだ。
 
第2段エンジンが着火せず、搭載する衛星を予定軌道に投入できなくなったため、指令破壊したらしい。
 
指令破壊されたH3ロケット1号機は積み荷の衛星ごとフィリピンの東方沖に落下したとみられるようだ。
 
参考
H3ロケット、フィリピン沖落下 JAXA、昨秋に続き連続で失敗
 
Σ( ̄□ ̄;)ハッ!
 
「ロケットを破壊し、フィリピン沖に落下!?」
 
こんな危険な愚行を何で各新聞社は批判しないのだ?
 
これについて朝日新聞も産経新聞も今日の朝刊でこの「大失態」について社説を掲げているが、その残骸のフィリピン沖落下を批判する論調は全くない。
 
参考
朝日新聞社説
H3ロケット 幅広い視野から検証を
 
曰く・・・
 
「失敗を糧に前に進むためにも幅広い視野から検証を重ねてほしい」
 
産経新聞社説
(主張)H3ロケット失敗 再起へ原因の徹底究明を
 
曰く・・・
 
「日本の科学技術の危機的な低落傾向が指摘されて久しい。製造業(ものづくり)も長らく苦戦している。『日本の再起』のために、科学技術、ものづくりを立て直さなければならない」
 
極めて「能天気」な論調である。
 
フィリピンの沖合いには当然民間の船舶や航空機が航行していただろう。
 
にもかかわらず、空からロケットや衛星の残骸の鉄の塊が落下して来たのだ。
 
たまったものではない。
 
なのになぜ、各新聞社は社説で「この“指令破壊”は被害報告はないものの、民間の船舶や航空機を危険にさらし、人々を不安に陥れる行為で絶対に容認できない」とこの日本のロケット発射を批判しないのであろうか?
 
社会主義国の北朝鮮が発射する軌道が計算された軍事用ミサイルの海への着水は「民間の船舶や航空機を危険にさら」すが、日本のロケットが発射に失敗して“指令破壊”せれた残骸は「民間の船舶や航空機を危険にさらす」ことが無いとでも非科学的に考えているのだろうか?
 
これこそ“ダブルスタンダード”以外の何物でもないであろう。
 
北朝鮮のミサイル着水を「危険」と批判するのであれば、日本のロケット発射が失敗して“指令破壊”された残骸がフィリピン沖に降り注いだことについても断固批判すべきである。
 
それに、この打ち上げ失敗で破壊され海に投棄されたのはロケット打ち上げるための燃料であり、ロケットや積み荷の衛星の材料である鉄や希少金属であろう?
 
いずれも地球の貴重な資源なのである!
 
まさに「限られた資源の有効利用」が叫ばれる世の中にあって、こんな無駄で無意味な失敗はなかろう!
 
それも、今回の積み荷の衛星である“だいち3号”の開発には約二百八十億円の国費が投じられており、ロケット本体と合わせて大きな国民負担が生じているという。
 
それが、すべて“オシャカ”である。
 
笑いたくても笑えまい!
 
・・・・・・・・・
 
それにしても情けない限りである。
 
鳴り物入りで巨額の開発費をつぎ込んで開発したロケットが海の藻屑と消えてしまったのであるから。
 
先日、当随筆で言及したが日本の「もの作り」の水準が圧倒的に劣化したということが満天下にさらされたということであろう。
 
参考
憲さん随筆
斜陽国家“ニッポン”の落日 三菱重、国産ジェット旅客機撤退
 
それに今回も「三菱重工業」絡みである。
 
今回の打ち上げ失敗で三菱重工の株価も急落したそうである。
 
“三菱”の権威も地に落ちたものだ。
 
岩崎弥太郎も草葉の陰で泣いているかもしれまい!
 
参考
【岩崎弥太郎】
 
そう、日本はいまや・・・
 
(´Д`)=*ハァ~♪ワクチンもダメ、ジェット機もダメ、ロケットもダメ~、寿司屋でペロペロバカばかり~、オラこんな国やだ~、オラこんな国やだ~♪
 
状態なのである!
 
何が、「美しい国日本だ!」
 
ケッ!
 
参考
国産コロナワクチン、なぜ世界から大きな遅れ?「今がラストチャンス」狙う野心的な難題
 
迷惑動画投稿疑い3人逮捕 くら寿司、しょうゆ差しなめたか
 
話が逸れてしまった!
 
このように日本の産業の斜陽化は目を覆うばかりの惨状である。
 
しかしながら、国産ジェット旅客機にしろ、今回の新型ロケット「H3」初号機にせよ、そもそも“鉄の塊”を地球の常緑に逆らわせて空に打ち上げようという魂胆自体が人間の傲慢であり業の深さの現れではなかろうか?
 
宇宙開発等は所詮、宇宙の軍事利用の地ならしにすぎまい。
 
参考
米国・ロシア・中国が進める宇宙開発の全貌と軍事利用
 
それとも何か?
 
本気で地球外天体への移住を人類は考えているのであろうか?
 
ホーキング博士の如く?
 
参考
南極の南には何がある? スティーブン・ホーキング著『ビッグ・クエスチョン〈人類の難問〉に答えよう』を読む
 
※上記の随筆にはこう書かれている。
 
以下、引用。
 
彼(ホーキング博士)は地球の気候変動や核戦争における破滅へも目配せしながら、こう断言する。
 
「小惑星の衝突は防ぎようのない事故。物理法則と確率で必ず起こる。」
 
と。
 
私も太陽に寿命がある限り地球や人類にも必ず最期はおとずれると確信しているが、彼にはその先がある。
 
・人類破滅のリスク拡散の意味でも宇宙にのりだすべき。
 
・人類は地球を離れるべきだ。
 
・今こそ宇宙に乗り出すとき
 
彼は繰り返しそう力説している。
 
そして、こういう。
 
なぜ宇宙にいくか?
 
宇宙がそこにあるからだ。 
 
以上。
 
これに対して憲さんはこうも書いている。
 
「私はチョモランマなど、高い山の頂ですら行きたいとは思わないのに、彼は宇宙に行き、そこに人類が移住し植民するための方法をまじめに考えていたのね」
 
この考えはいまだに変わりはしない。
 
大枚はたいてあの危険な宇宙に行きたいという人間の気がしれない。
 
参考
ZOZO創業者・前沢さんの宇宙旅行は格差社会を象徴!? 庶民はいつ、いくらで行ける?宇宙ビジネス最前線
 
まー、「何とかと煙は高いところが好き」とも言いますからな!
 
(´艸`)くすくす
 
こんなニュースもある!
気球で「ほぼ宇宙旅行」。日本企業が実機公開。北海道発、2023年末以降のフライト目指す
 
お前らは「風船おじさん」かっ!つーの!
 
参考
【鈴木嘉和】
 
それにしても、風船おじさん今頃どの辺りを飛んでいるのだろうか?
 
(´艸`)くすくす
 
菜の花や月は東に日は西に
 
宇宙に散らばる無限の天体や月は、この緑の地球から大気越しで愛でるから趣もあるのであろう。
 
宇宙とは決して物見遊山で行くところではないのである。
 
憲さんはそう思う。
 
どーよっ!
 
どーなのよっ?
 
※念のため、このロケット打ち上げ失敗を受けた後の東京新聞「こちら特報部」の記事を採録しておく。
 
以下
 
こちら特報部 「H3」ロケット1号機失敗(上) 
エンジン開発難航 打ち上げ期限迫り 今後の計画読めず 地元経済には暗雲
2023.03.09
 
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発した大型ロケット「H3」1号機の打ち上げが七日、失敗した。日本の宇宙開発には大きな痛手で、戦略の見直しを迫られるのは必至だ。二月に打ち上げを「中止」後、準備が行き届かなかったのか。成功を得たい焦りのせいか。失敗の影響やリスク管理の在り方について、いくつかの面から考えた。 (宮畑譲、岸本拓也)
 
 七日午前十時三十七分ごろ、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から発射されたH3ロケット1号機。順調に離陸したように見えたが、二段目のエンジンが点火せず、約十四分後に指令破壊された。
 
 二月十七日の打ち上げが、機器の誤作動で直前に取りやめとなり、二週間余り後の再挑戦だったが、あえなく失敗に終わった。
 
 H3は二〇〇一年に登場したH2Aロケットの後継機で、主力機の刷新は約二十年ぶりとなるはずだった。衛星の打ち上げ能力を向上させつつ、市販の部品の利用や製造過程での3Dプリンターの導入で、コスト削減を図った。しかし、主エンジンの開発に難航し、元々計画していた二〇年度から発射の延期を繰り返していた。
 
 破壊されたH3はフィリピン東方沖に落下したとみられ、回収は難しいと考えられている。JAXA開発担当の岡田匡史プロジェクトマネジャーは七日の記者会見で「このようなことになってしまい、申し訳ない」と謝罪し、ぼうぜんとした様子。原因究明や次回打ち上げについて「対策をどうするかも含めると時間は読めない」と話した。
 
 日本の宇宙開発にとって危機的状況とも表現される今回の失敗。最初のトラブルからもっと時間をかけて対策を練ればよかったようにも思われるが、そうもいかなかった。
 
 ロケットの打ち上げ期間は、JAXAと関係地域の漁業者らが調整して決める。発射当日は分離されたロケットが海に落下するため、休漁を強いられる影響などがあるからだ。今回の打ち上げは今月十日までという取り決めだった。
 
 JAXAの広報担当者は「ステークホルダー(利害関係者)が多く、期間を簡単に変えられない」と説明する。
 
 いずれにしても、今回の失敗で、国際宇宙ステーションに物資を届ける無人補給機の打ち上げなど今後の計画の実現時期に狂いが生じる可能性がある。その影響は、打ち上げ事業による経済効果を期待する地元にも及び、今後を不安視する声が上がる。
 
 「打ち上げ予定がないと暗闇にいるような感じ」。鹿児島県南種子町で旅館を営む海野タズ子さん(76)がこう漏らす。今回は特に新型ロケットの打ち上げとあって、町外からの見学客がいつも以上で、満室となる旅館が出るなど町は活況を呈したという。
 
 町の建物にはH3の打ち上げ成功を祈る垂れ幕が設置され、関連グッズも販売された。
 
 海野さんは「打ち上げは町にとって一大事業。あるとないとでは全く違う。影響は旅館業だけでなく、飲食店などいろんな方面にある。みんなめどが立たないことに不安がっている」と失敗を残念がる。
 
 期待が大きかっただけに、南種子町商工会の地元事業者支援担当者も「打ち上げの前後数日は観光客による経済効果が大いにある。今後の打ち上げ計画がはっきりしないと、事業者は経営の予測が立てづらくなる」と困惑気味だった。
 
「成功」前提 余裕なく 
JAXA2月は「中止」表現にこだわり 
280億円投じた衛星も失う 三菱重の技術力に不信 
欧米と比べ人材・資金面で大きな差
  
 二月にH3を発射できなかった際、JAXAは記者会見で、事前に異常を察知した「中止」と表現。通信社の記者が「中止ではなく失敗では」と追及した。このやりとりを含む会見はユーチューブでも配信された。「一般に言えば失敗」と捨てぜりふのように言った記者に対して、ネット上で批判の声が上がった。
 
 今回はさすがに、JAXA自身が「失敗」と認めざるを得ず、そうした論争は起きていない。
 
 ただ、技術的な原因究明は今後だとしても、「中止」と強調しながら、失敗してしまったマイナスイメージは計り知れない。
 
 経済ジャーナリストで千葉商科大の磯山友幸教授は「JAXAが中止という言葉にこだわったこと自体に違和感があった。想定内ではないことが起きたら、失敗と言われても仕方がない。戦時中に日本軍が撤退ではなく転進と言い張ったことを思い起こさせる」と、失敗イメージを嫌うような二月の対応を疑問視した上で続ける。「H3の打ち上げは度々延期されてきた。もし内部的事情から失敗と言えず、万全でない状況で打ち上げを進めたのだとしたら本末転倒。背景も含めた徹底的な検証が必要だ」
 
 H3の開発には、二千百九十七億円の国費が投じられた。一回の打ち上げ費用を現行のH2Aの半額となる約五十億円に抑える目標を掲げたが、今回の打ち上げ費用は明らかにされていない。搭載されていた地球観測衛星だいち3号も失った。だいち3号の開発には約二百八十億円の国費が投じられており、ロケット本体と合わせて大きな国民負担が生じている。
 
 H3開発に関わった三菱重工の株価も失敗と同時に急落。同社にとっては、ジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)の開発断念に続く悪いニュースだ。磯山さんは「(同社と関わりの深い)防衛費増額といった後押しもあり、短期的な業績に影響は出ないだろう」としつつも、「旅客機もロケットも駄目となると、根本的な技術力への不信は避けられない」とみる。
 
 世界的にみると、ロケットビジネスの分野では、起業家のイーロン・マスク氏が率いる米スペースXが抜きんでている。再利用可能なロケット「ファルコン9」は、一回の費用を五千万ドル(約六十五億円)程度に抑え、これまでの打ち上げは二百回を超えた。
 
 日本は国家プロジェクトとしてH3開発を進めるが、柔軟な発想を持つ民間企業主体にはできないのか。宇宙開発評論家の鳥嶋真也さんは「米国には長くロケット開発をしてきた歴史があり、掃いて捨てるほどいるロケット技術者がベンチャーで開発に従事している。日本とは技術者の層の厚さが違う」と指摘する。
 
 予算面でも、H3と同時期に開発が始まった欧州各国による新型ロケット「アリアン6」の開発費用は三十五億ユーロ(約五千億円)と日本の倍以上。人材面、資金面で日本は厳しい開発環境に置かれている。
 
 さらに鳥嶋さんは国の宇宙基本計画の「余裕のなさ」を疑問視する。計画では、H3は日本の主力ロケットとして、三〇年度までに準天頂衛星などの衛星や探査機を二十機以上打ち上げる予定になっている。一方、H2Aは二四年度に引退する。H3の失敗で、今後の工程が頓挫しかねない。
 
 鳥嶋さんは「全てスケジュール通りに開発がうまくいくという前提で計画が決まっている。H3の運用が安定するまでは、実績のあるH2Aを併存させるべきだった。結果論ではあるが、見通しが甘かったと言わざるを得ない。今回のことを教訓に、失敗や故障があってもバッファ(余裕)のある計画に見直す必要がある」と指摘する。
 
デスクメモ
2023・3・9
 七日夜のNHKニュースには少々驚いた。トップはH3の打ち上げ失敗かと予想していたら、五分以上、本塁打後のポーズなど、開幕もしていないWBCの話題だった。H3は二番手。NHKとも関係が深い放送法を巡る問題は三番手だった。おかしなそんたくではないと思うが…。(北)
 
以上