読者の皆様 

エージェントが必要か必要でないか、

エージェントがなぜ必要かは語りません。


あなたが専属的に劇場契約を結べるシステムのある国に行くことも大事で、これが理由でわたしの生徒の大部分はドイツ語圏に留学し活動を始めます。しかしだからといってソリスト生活をしたいならどこかでエージェントの問題にぶつかります。

  

25歳までのわたしは発声がわからないことには悩んでませんでした。

エコールノルマル音楽院にエージェントが来て、声を聴いてくれる、といわれ、わたしはアリアを歌ったが、かれからは『これまでエージェントがついて活動したことはあるか、あるいはプロとしてヨーロッパで活動したか』と聞かれ、わたしは当然、『ない』と答え、この出会いはそれっきりになったのでした。

いまおもえば、そのときもっと無理なく完成度高く歌えるアリアと歌曲を素直に芸術的にスタイリッシュに歌えば良かった。

わたしはVerdiからErnaniを歌い、朗々と歌えていたとおもうが、エージェントはたんに声の良い若きバリトンを探していたわけではなかった。


わたしは幸運にもパリオペラ座の試験のセミファイナルのあと、プロモーションに引っかかり、そのあと『試験』として『セヴィリアの理髪師』を3公演歌い、9月からめでたくプロモーションがついてわたしは1年間本格的な劇場にオーディションに行けるようになった。

しかし、新たな問題は、それらオーディションに突破できるレパートリーをぜんぜん持ててなかったことです。

わたしのプロ生活は2011年9月に始まったけど

1年間、大劇場で迷子のようなオーディション生活を送った。

この20代後半の大事な一年をもっと違うレパートリーと歌い口で勝負すれば全然違ったと思う。


もちろんオーディション生活で発声と勝ち曲を磨 き、国際コンクールにもファイナルに残るようになり、ドイツのエージェントに拾ってもらい、2012年9月から愛の妙薬やドン・パスクァーレなどのオペラを2シーズン集中的に歌いました、、、。


、、、、さて、いまの若い人はわたしより5年早くこの壁にぶつかっていて、藝大・音大にいる時点で、自分のメインのプロブレムが発声ではないことに気づいてます。

声も悪くないし、Verdiのアリアを歌えばパーフェクト。しかし戦いはここから。現代のオペラシーンであなたが、あなたの年齢で、何をできますか?


12月なかばから2月半ばまで約2ヶ月にわたりディスカッションをしました。

これは、つまり、わたしはエージェントとして

仕事をしました。

あなたがたの便宜的なエージェントとして、留学を整理し、レパートリーを決め、歌手のタイプを決め、どういう歌い方とキャラでいくか決めた。

正確に言うなら、これは、エージェントへの橋渡しをするエージェントをした、ということ。


十数名のプロと数名のセミプロと関わり、

十数名のプロの方々は、そのほとんどが活動拠点を海外に移したい方、

この数名のセミプロという方々も、本格的なオペラ歌手になるための具体的な筋道を知りたいという方々だった。

発声も、たしかにできる限り早い段階で理解しなくてはいけませんから、(国際コンクールで予選敗退するならエージェントもへったくれもない)

ディスカッションは2月半ばで終えたものの、

数名は発声レッスンを開始しました。


むろん、わたしのメインの仕事は発声トレーニングだと自覚しますが、

【かれらがオペラ歌手になれないならわたしは

詐欺師に過ぎない】。

もちろん、発声を5年間教えて、あとは放り出す先生が詐欺師だとおもわず、かれらはノウハウと知識を知るための、じっさいの劇場界での経験がないだけです。

わたしはじぶんの培った経験を語る義務があり、

その経験はあなたが大劇場で歌うのに必要とまでは言わないが役立ちます。

今年わたしにとり3人目のスカラ座アーティストが誕生するが、それがわたしの発声レッスンの的確さだけであったとは思いません!!!