★★☆☆☆



恐怖小説集。


ここ最近は、やたらとホラーを読みたくなって。梅雨も間近な湿り気な天気がそうさせるのか...


角川ホラー文庫に手を伸ばした。



前にも話したけれど、


ホラーへの耐性は人並み以上。


だから、大抵の恐怖物にはビクともせず。



恐怖小説集というからには...と半ば期待していたけれど、


背筋にちょっぴり冷たい物が走る程度か。




恐怖小説の短編集。



冒頭は、ふとした出来事から、運命の歯車に絡め取られた女のお話。



久しぶりのバカンス旅行に、流行作家は締切に追われ、追われ、


成田に着いてからも、残り数枚の原稿を書き上げるべく死に物狂いで・・。



搭乗ギリギリで滑り込み。



無事に飛行機に乗り込み離陸。



機内にて、女はある兆候を目にする。



そして、自身の運命を悟るのである。



冒頭一話目の走り出しがまずまずの出来栄えであったため、期待に胸を膨らます。






二話目以降は、女と男の物語が続く。



恐らく作者が真に描きたかったことなのではないか。



そう感じるほどの熱量を覚えつつ、逆にどんどん冷静になる私がいる。




恐怖、というより、男女の機微の違いを遠回しに描いているよう。



どこか観念的な世界観で支配されており、恐怖小説、ミステリーという枠組みとはかけ離れていく。




欧米のあからさまな恐怖もキライではないけれど、


やはり、日本特有の、




忍び寄る恐怖   



ゾクゾクする恐怖



夜、目を開けられぬ程の恐怖




それが、本来のホラーの醍醐味とするならば、



本作を、


恐怖小説集としたカテゴリーはいささか違和感を禁じ得ず。