★★★☆☆
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240612/07/ken-aqua1014/fb/1e/j/o0810108015450474255.jpg?caw=800)
長編ミステリーとしては、やや荒削りな部分も見え隠れするけれど、
とても初めては思えない丁寧な構成は、読み易さもさることながら、
感情の機微が正面から伝わり、頁を捲る指にも自ずと力が入る。
二人だけの兄弟。
父を早くに亡くし、母親と三人、貧しくても心豊かに暮らしていた。
そんな生活が一変したのは、思いがけず遭遇した理不尽な事件。
酒に酔った男。
ナイフを振りかざし、滅多刺しとなった母。
兄弟は、母を失った。
裁判では、心神喪失が争われる。
理不尽な結末。
懲役六年。
そして、二人は成長した。
兄は一度は夢を諦めるも、再びボクシングの世界へと進み、
いよいよ、世界タイトルマッチを迎えることに。
弟は、結婚し、曲がりなりにも幸せな生活を送っていた。
そんな弟の目の前に、
偶然ある男の姿!?
あいつは・・・。
復讐の炎が上がる。
そんな矢先、弟に訪れる病魔。
余命は・・・。
そして、弟は、男の殺害計画を立てることに、
着々と進む計画。
いよいよ決行の時。
まさかの事態が・・。
ある程度想定の範囲内のストーリー展開。
無難、と言えば聞こえは良いけれど、
中途半端に謎が残された箇所が二つ、三つと。
決められた字数制限がある中では仕方ないのかなと思いつつ、
謎が残されたままというのはどうも具合が悪く。
ラストは、ありがちな締め。
もう一波乱!?くらい期待していただけに、やや尻すぼみ感は否めないけれど、
安定した締め括りと言えなくもなく。
ミステリーで、安定はやはりちょっと、ね。
![](https://ssl-stat.amebame.com/pub/content/9477400408/amebapick/item/picktag_autoAd_301.png)