★★★☆☆



江戸川乱歩賞受賞作品。



警察組織の陰謀で辞職を余儀なくされた老齢の男は、マンションの管理人として過ごしていた。



そんなある日、交通事故から病院を受診することに。そこで告げられたのは、



軽度の認知症。



わたしがわたしで無くなる..。



警察を辞めた時、


妻とも離婚した男。



一人娘は、関東の大学へと進み、二十年振りに顔を合わせる。


娘は、福祉の道へ進み、

実習として、老健施設で働くことに。



ある日、


老健施設の門の前に、一人の老人が置き去りにされた。



重度の認知症を患う老人



自分のことを何も分からず、名前すら分からず、


「門前さん」と呼ばれることに。




門前さん、とは一体何者なのか?  


置き去りにしたのは一体・・。



娘の頼みから、置き去り犯を探すことになる父親。




これが謎なのか!?



なんて思っていたら、意外に早く見つけることに。



しかし、ここからがさらに謎が深まることに。



門前さんには、得体の知れない秘密が隠されていた。



門前さんの過去を調べる中で暗躍する謎の組織。


警察...公安...暴力団まで巻き込みながら、事態は思わぬ展開を見せることに。



中盤まではそれなりにトキドキしなから読み進めてゆける。



後は、


驚きの謎の解明を残すのみ!



期待とは裏腹に、ちょっぴり強引な解明に、ややトーンダウンするものの、


論理的な展開であることに救いも。




ラストは、


望外のハッピーエンド!?




認知症というテーマに果敢に挑み、ミステリーと融合させて描き切った本作。





2050年には、


三人に一人は、高齢者となる..らしい。



避けては通れない道なのかもしれない。



わたしが私であるために・・


考えさせられる作品。