★★★☆☆



お気に入りの作家さんのお一人。


そんな作家さんの、初の警察小説とあっては手にするのは必然。



なんて洒落た書きぶりだけれど、



初めて手にした作品が、


やれスタンガンだの、スタンガンだの、スタンガンだの...



徹底した残虐ぶりの数々に、残虐小説を得意とした、



壊れた異常者!?


などと、失礼にも、そんな第一印象。



ただ、あまりに歯に衣着せぬ残虐ぷりに、インパクトは絶大。



その後、二冊目、三冊目と手にするうちに、類まれな振れ幅に、開いた口が塞がらず。



180度相対する、ピュアな純愛物に触れた時は、とても同じ作家とは信じられず、


何度も作者名を見返したほど。




そして、本作、


警察小説。



新堂冬樹の手掛ける警察物がただで終わるはずもなく。



警察は警察でも、


主役は、表にはあまり現れない、


公安警察。



一人の女性...片桐梓。



もちろん本名ではない。



本人ですら、時折自分の存在が分からなくなるのが、公安という組織。



そんな梓が追いかけるのが、


北朝鮮マフィア..朝義侠


コリアンマフィアだ。



日本の警察を屁とも思わない彼らは、


日本のアンダーグラウンドを制圧しようと目論んでいた。



そんな梓にも、


唯一心を通わせる男性が..。



それでも、公安警察のことを明かせるわけもなく、

一緒に居たいと内では思いつつも、


叶わぬ思いに悶々とする梓。





終盤。


いよいよ朝義侠との対決の場面へ。



緊張感が読み手にも伝わってくる。



いよいよ...という所で、思わぬ事態が巻き起こる。




真の悪人とは一体誰なのか!?





クライマックス。


読み手も完全に騙される展開が待ち受ける。



何かある!?



そう、薄々は思いながらも、それが何なのか分からぬまま、


突然梓の眼の前に...読み手の目の前に...

飛び込んできた人物、、、



思わず、



あっ!?



と、うめき声を上げそうに。



流石は新堂冬樹さん。


見せ場をちゃんと用意してくれていた。




惜しむらくは、ラスト..エンディング。



精根尽き果てたのか、


意外にシンプルな手仕舞いに、


高まった体温が急速に冷めてゆき..。




初の警察小説は、


新堂さんらしさが随所に散りばめられつつ、



インパクト...


という点では、次回作に期待を寄せる。