★★★☆☆
大学の大先輩でもある石持浅海さん。
知ってからは好んで手にするように。
いかにも怪しげでスリリングな展開を想起させる表紙絵。
テロリスト...とは言いつつも、
残虐...とはかけ離れた、
反政府組織!?
...目的のために人を殺す...なんてことは一切行わない、どころか、禁忌とすらしている。
そんな組織のメンバー...細胞と呼ばれている、
メンバーが軽井沢の、あるコテージに集められる。
「子どもにテーマとした策を考えてほしい」
どこか漠然とした指令。
彼らはそんな組織の指令に取り組む。
その最中、事件が起こる。
組織のメンバーの一人が何者かに殺されたのだ。
首を絞められた扼殺。
掌の跡が残っている。
通常であれば警察を呼んで...
しかし、彼らは曲がりなりにもテロリストなのだ。
警察を呼ぶことは出来ない。掌紋によって、科学捜査が行われれば一発で解決出来る事件にも関わらず、そうは出来ない。
混沌とする中、細胞のリーダーは、淡々と、
そう、淡々と指令を下す。
残ったメンバーで指令を遂行してほしい...。
そして、その一週間後、
彼らは再び集められる。
今度は具体的に、策を「生製する」過程へと入る。
そしてまたしても、
事件が起こる。
何者なのか。
閉ざされた空間で起こる殺人事件。
そして、犯人も限られている。
動機は・・。
終盤。
すべての謎が解き明かされる。
が、ちょっと性急感は否めず。
本作では、
『動機』
こそが鍵となる...にも関わらず、
その動機が些か弱い印象が..。
謎は全て明らかになっても何となく残る異物感。
最終章。
作者のちょっとした遊び心によって、そんな異物感もちょっぴり薄れさせてくれる。
おどろおどろしいミステリーではない。
こんなテロリストであれば、
世の中もちょっとはマシになるのかもしれない。