★★★☆☆



記念すべき第20回、


『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作。



これまであまり耳馴染みのない、「弁理士」にスポットライトを当て、



特許機侵害に絡む、若き女性弁理士!


と言えば聞こえは良いが、一癖も二癖もあるヒロイン。



ハラハラ・ドキドキのリーガルサスペンス張りの、士師ミステリー物。



ややマニアック的な専門用語も飛び交うものの、補って余りある展開の早さと、


キャラ立ちした登場人物に否が上にも惹き付けられてゆく。



一つ期待を込めて言えば、


ちょっぴりライト過ぎるところか。




半沢直樹や高杉良的金融ドラマに比べ、



本格物ならではの、



胸がヒリヒリとするような駆け引きは影を潜め、


...作者的には描いていたのかもしれない...


やや「軽い」印象を与えてしまったのは勿体ない、か。




とはいえ、


飽和的な弁護士物ではなく、


敢えて、弁理士という役柄に注目したチャレンジング姿勢はお見事。





弁理士・大鳳未来



元パテント・トロール。



聞き慣れない言葉だけれど、特許権侵害を立てに企業を脅す...というのは聞こえが悪いけれど、


要は、特許権で荒稼ぎする経歴を持つうら若き女が、


今度は企業を守る側に回るという設定。


経歴からして、これがまた面白い。





本作。


実際に警告書を送られたのは・・


VTuber


というのだから、正に時代にマッチした仕立て。



九分九厘敗色濃厚な事態を、未来はどう切り抜けるのか。



切り抜けると答えを出してしまったけれど、



この程度のネタバレは些末なこと。



本作の魅力の本質は、切り抜けるまでの過程...




絶妙。





★3としたけれど、


大賞作品だけあって、「面白さ」は折り紙付き。



あとは、好みの問題。



本格物...よりスリリング性に重きを置くか置かないかだけの問題。




映像で観ると、


また異なる味わいが楽しめるのかもしれない。



むしろ、


映像向きなのかも。