★★★★☆




初めましての作家さん。


異分野とのコラボ...への抵抗感はさほどなく、


これも、某K.H氏の『天才物理学者◯川教授』の賜物か。




とはいえ、


『ミステリー ✖ 経済学』


というのは、一体どんな展開となるのか、読み始めから興味は尽きず。




期待外れ!?



となることも多い中、


個人的な見解として、本作は十分な合格点。




冒頭、丁寧に前提条件を読者に提示。


その条件も、決して突拍子もないものではなく、



思わず、


なるほど!


と頷ける。



登場人物のキャラクター性にも作者なりのこだわりがあり。



経済学者



と言いつつ、実は名探偵張りの推理力を発揮!


なんて描かれると、


拍子抜け感は否めないところ、



あくまで「経済学的見地」から犯人を炙り出すのだから、むしろ親近感を感じさせる。




経済学者との対比として、


プロファイラーを登場させるところも心憎い。






連続殺人事件が発生!?



たくさんの痕跡があるにも関わらず、警察は犯人を挙げられずにいた。


膠着状態が続く中、


捜査員として加えられた二人、



プロファイラーと、経済学者。



なぜ経済学者が!?と首を傾げたくなるのだが、


行動経済学なる手法を使えば、


プロファイルでは絞り込めない、『3割』の事件を解明することが出来る、と言う。




具体的な数値を置きながら犯人を炙り出してゆくのだから、


つい魅入ってしまう。



そして、表に現れた第一容疑者。



しかし、その容疑者には完璧なアリバイがある。


果たしてアリバイは崩せるのか。




終盤には、


思いも寄らない事件の真相が待ち受ける。



何かがおかしい!?



読み手も、どこか妙な違和感を感じているのだが、その違和感が何なのか、なかなかはっきりしない。



そして、


遂に訪れる驚愕の真相。




ライトノベル的な印象を持っていたけれど、


なかなかどうして、


筋立てはお見事。



それぞれのキャラクター性も十分に愉しめる。





もしかしたら、


実際の現場でも活用されているのかしら!?


とすら覚えさせるミステリー。