★★☆☆☆



ホラーミステリー。


ホラーもミステリーも大好きジャンルだけに期待も高まり...


また、作者が鈴木光司さんというのだから、その期待も一汐。




『リング』で、その名を一躍轟かせた鈴木光司さん。



日本ホラーに革命をもたらせた!

と言っても過言ではない..と人知れず思っているけれど、反面、


なかなかリングを超える作品に巡り会えないのが気掛かり。




本作は短編ホラーの集約。



あの、


忍び寄る恐怖


を期待していただけに、失礼ながら拍子抜け感は否めず。




ホラー!


と銘打つからには、「恐怖」が否応なく大前提。



程度の差はあれど、


いかにホラーに耐性があるとはいえ、


恐怖を微塵も感じないのは如何なものか。




もちろん、作者なりの「恐怖」は描かれている。





日常の何気ない恐さ


がテーマなのかもしれない。





ふと何気ない天井のシミが気になる


誰もいないはすなのに得体のしれない気配を感じる


呼び鈴が鳴っていて出てみると誰もいない




そんな誰しもが体験したことのある、日常の些細な体験を、本作では「恐怖」として描いている。


先程の例はあくまで一例であって本作とは関係のない話なのだが。




残念ながら、


本作では、どこか観念的な世界観を描いており、



なんとなくの恐怖


と、どこか曖昧模糊とした印象が拭えず。




鈴木光司さんでなければ、



「まあ、こんなものか」



と収められるが、リングの作者だけに、



もっと


もっと



と、どうしても期待してしまう。





ただ、


『あとがき』は、面白い。


作者の他代表作の裏話が描かれる。



あとがきと言いつつ、


おまけのような物語まで収録されているのだから、


最後まで読んでみることをオススメ。




新しい発見があるかもしれない。