★★★★☆
まずは奇想天外な発想にあっぱれ。
奇想天外...とは言うものの、誰しもが一度は頭に思い描いたのではないか、
それを物語として具現化した、
正に奇想天外ミステリーの誕生とも言える。
重大犯罪により死刑判決を受けた犯罪人たち。
時は少子高齢化が加速度的に進み、
社会は、死刑廃止が現実化され、
過去に死刑判決を受けた犯罪人たちの処遇に手を焼いていた。
人知れず死刑を執行することも可能...
だが、ここで画期的なシステムが開発された。
時空移動システム
要は、
タイムトラベル、である。
まだ起こっていない未来へ行くことは出来ないが、過去へ戻ることは可能。
そんな時空移動システムを使い、重大犯罪が起こる前の自分に会い、
自ら起こす犯罪を止める
事件が起こらなければ、死刑判決そのものが、
無くなる..
というとであり、晴れて自由の身となることが出来る。
ただし、
与えられた時間は三日間..72時間のみ。
そして、会えるのは過去の己のみ。
他者との接触は厳しく咎められる...歴史への影響は必要最小限に留めなければならない。
時空監視官
同行するお目付け役
任務が失敗しても、
72時間以内に帰還出来なくても、
その代償は、
・・・『計り知れない』ものとなる。
三つのストーリーが展開される。
いずれも惨たらしい犯罪。
果たして彼らは過去に戻り、自らの犯罪を止めることが出来るのか。
主役は、
犯罪者たち...死刑囚...
と思いながら読み進めていた。
が、最後の最後に、
想像も出来ない衝撃が待ち受ける。
ちょっぴりネタバレになるかもしれないけれど、
ラストは、
バック・トゥ・ザ・フューチャーPart1の
ラストを観たときのようなスリリングさを醸し出している。
続編があるのかどうかは知らないけれど、
パンドラの箱の最後に飛び出すのは
本当に、
希◯・・・なのか。
発想の妙を体感する、奇想ミステリーの世界にどっぷりと浸かることになる。