★★★★☆



リアルホラー


山田作品は、ちょっとした清涼剤代わりにふと読みたくなる。



ライトノベルながら、


作品によっては、完成度も高く、読み応えもある。


反面、期待ハズレもあるけれど...。



本作で言えば、


そこら辺の中途半端なホラーミステリーと比べても、物語の完成度は非常に高く、


映像化しても十分に耐えうる仕上がり...調べてはいないけれど、もしかしたら、既に映像化されているのかも。




親指さがし



意味深で、どことなく怪し気...それでいて背筋に冷たいモノが走るようなそんなタイトル。





昔、ある別荘で、一人の少女がバラバラにされて殺され、何故か死体から左手の親指だけが消えていた。



単なる伝説と思っていたら、本当に起こっていた事件。



そんなこととは露知らず、


仲の良い5人の小学生が、コックリさんと似たような遊びを行うことに。



一人の女の子..由美がみんなに言う。




親指さがし...って知ってる?




好奇心旺盛な小学生たち..そして、男の子は、特有の、



怖がっている


なんて姿を見せるわけにはいかない。



成り行きから5人は親指さがしをやることに。



ただし、


守らなければならない約束事が二つあった。




ロウソクを吹き消すと戻ってこられる


もう一つ、


後ろから肩を2回叩かれても決して振り向いてはいけない




ありがち。



と思いつつも、物語に引き込まれてゆく。



そして始まった。



最初は面白半分で、


どうせ何も起こらないだろうと高をくくっていた面々。


ところが・・、



気が付けば、5人は全く知らない部屋の中にそれぞれ飛ばされていた。



とりあえず、親指を探すことに...



その時、後ろに忍び寄る何か得体のしれない気配。




ポン、ポン



驚いた彼らは、急いでロウソクを吹き消し、


元へと戻る。




そこで止めれば良いものを、


その時のスリルを味わいたくて、


再び集まる5人。



円形となり、それぞれが親指を隠すようにして手をつなぎ・・・


そして、またもや飛ばされる。




それぞれの部屋に入った面々。


またもやスリルを味わいながらも、親指を探す。



その時、


何かガラスの割れるような音が・・。



慌ててロウソクを吹き消し戻ってみると・・




そこには四人...。



一人を除いて。




あれから七年。


片時も忘れることのない。



二十歳の成人を迎える前に、四人の前に、悪夢が蘇る。




彼らに明日はあるのか!?



どこかで聞いたことのあるような展開だったとしても、


テンポ良く進む展開に、ページを捲る指も小気味よく進んでゆく。



ラストが気になって仕方がない。



果たして・・。




本格ホラーと言っても決して過言ではないほどの、出来栄えにホラー好きの私も引き込まれてしまった。



ライトノベルでこれだけの物語を紡ぎ出せる山田悠介という作家、


まだまだ侮れず。