★★★☆☆



1994年上辞。

宮部みゆきさん初期のミステリー作品。


七編の短編ミステリーから構成。
 

どこか尖ったような荒々しい印象が拭えない中で、当時としては斬新とも思える手法を駆使している姿が、

文体、プロットから感じられ、


今、2024年に目を通して、

改めて、宮部みゆきという作家の軌跡が垣間見られる貴重なミステリー作品なのかもしれない。





タイトルにも成っている、


地下街の雨


音楽で言えば、リード曲的な役割を果たしている。




地下街の喫茶店。

ウェイトレスとして働くアルバイトの女性。

彼女は普通のOLとして会社勤めをしていたが、結婚を機に会社を辞めることに。


しかし、夫となるはずの男は、

突然結婚を辞めた。

それもあまりに理不尽な理由から・・。

いまさら会社に戻るわけにもいかず、

彼女は..,喫茶店で働くことに、


そこに、訪れた一人の女性客。

窓際の席で彼女は物憂げに..。


注文を受ける彼女。


そのうち、

彼女と女性客の距離は急速に縮まり...しかし、それは決して楽しいものではなかった。


その女の抱える不幸を耳にするにつれ、

どこか異質なものを感じるように。


そんな二人の様子を偶然目にしたのは、

分かれた男の隣の部屋に住んでいた男性。



気付かないで


そんな思いも裏腹に彼は近付いてきた。


そして、

不幸な女は、

そんな彼を物欲しそうに見つめる。



暗澹とした空気が漂う中、

その女は、彼女をだしにして、男性に近付こうとする。


目的は何なのか。


そして、運命の日。


・・・。


宮部みゆきさんらしい、

その当時から、ゾクリとする切れ味を魅せる。



全ての短編が、


珠玉


とまでは正直言えないけれど、


七編の中に、

後にミステリーの女王と呼ばれる片鱗が垣間見つけることが出来るのかも。


未だに最前線を走る女流作家の道程は、

未だ衰え知らず。


今年も幾つ手にすることが出来るのか、

楽しみが止まらない。