★★★★☆



2024年最初の作品は...



無差別射殺事件



悪趣味極まりないけれど...



単なる無差別..事件ではない。




冒頭、


いきなり三人の犯人目線から物語の幕が開ける。




大型ショッピングモール。



白鳥広場と黒鳥広場



両端から挟み込むように、目にした者全てに銃を向ける犯人たち。



ドン


ドン


ぽいっ



簡易模造銃は、二発しか撃つことは出来ず..



小気味良い音が恐怖を増幅させる。




逃げ惑う人々


容赦無い悪意




犯人の一人は後ろから飛び掛かられるや、


自らの腹部を日本刀で突き刺し、そして...。




もう一人。


スカイラウンジへと向かう。



そこには、何もできず取り残された人達が..子どもも一人..。






いづみは、スマホでスワンに呼び出されていた。



無視しても良かったのだけれど、


彼女は行かざるを得ない理由があった。




決着をつける。




そして、あの悲劇が起こる。



事もあろうに、犯人はいづみに問いかける。




お前が決めろ



殺す者を..。




そこには、


小梢も..いた。




ドン


ドン


ぽいっ


ドン



子どもへ、二発の銃弾を撃ち込んたあと、


犯人は自身の頭に銃口を当て、自害する。





冒頭クライマックス



そんな言葉が脳裏を掠めるも、



物語は、ここからかが本番となる。




生き残った者へ


ある連絡が入る。



老婦人がエレベータに挟まれ、犯人に殺された真の理由を知りたいという



茶会で話をするだけで、お金を払うという




様々な思惑が渦巻く中、


お茶会に参加する面々。




ただし、


嘘の証言と分かれば、金額を減額あるいはゼロとする、という。



確かに初めはお金が目的であった。


けれど、それぞれに事件に片を付けたい、



そんな心情が見え隠れする。



そして、明かされてゆく驚愕の事実。




いづみと小梢の間にも



明かされない真実かあった..。




スカイラウンジて、一体何があったのか。



老婦人はなぜ死んだのか。




そして、


子どもは、なぜ『二発』撃たれなければならなかったのか。





終盤。



白鳥の湖とともに、


全ての真実が明らかになってゆく。




薄々勘づいてはいても、


はっきりとした真実が明かされたとき、


怖気のようなものが背中を走る。





本作のようなプロット仕立てはミステリーとしても珍しく、



初めにクライマックスを迎え、どうなることかと勝手に心配したけれど、




ラストにもう一つ、



二度目のクライマックスが用意されていた。




2024年もミステリーの世界から脱け出せそうにはないみたい。