盛田隆二さん作品。★★★★★


四十四歳。支店次長銀行員。次長と言えば支店長に次ぐ役職であり、企業で言えば社長に次ぐ役職。秋野智之。
一回り以上年の離れた同じ総合職の女性との道ならぬ恋。
ただ最後の一線を超えるまでの葛藤。所々に銀行業務の内幕を赤裸々に描き、単なる恋バナに終わらせない。作者は銀行員経験があるのでは?と思わせるほど内幕を忠実に描いている。

そして最初は上司と部下のプラトニックな関係が少しずつ少しずつ崩れていく。これほどまでに深層心理を描ききっている作者の描写に末恐ろしさすら覚える。

ぐいぐいと物語の世界に引き込まれてしまった。最後二人が結ばれたときの表現・・ここに記すことは憚れてしまうが、決して厭らしさはない。こんな言葉で表現出来るんだと作者の表現力の豊かさに素直に感嘆してしまった。

明日からの仕事がどこか浮き足立ってしまいそうなのは間違いなく本作の影響。
ミステリー作品ではないけれど、心に残る作品であった。


今日はお気に入りのシンガーは大阪駅内にて路上ライブ。しばらく駆け付けられないけれど、GWはたくさん東海地区へ来てくれる。