フェイス | バリエ

フェイス

タイトル: フェイス

 女性監督が男の世界を描いた映画では近年「K-19」が思い浮かぶ。前半無駄に長く感じたが後半、特に最後にかけては重く確かにそれが描かれていた。この「フェイス」の監督アントニア・バードも女性監督だ。


 「俺は今35歳だ。24までは堅気だった。もし、まともな職についていれば倍の金は稼げただろう」強盗犯フェイスのリーダーレイは最後のヤマとして仕事を成功させるが思ったより金が少ない。当然仲間から不満も出る。そしてその後金が奪われた。裏切りか?罠か?いったい誰が?苦悩する先に待っていた道は・・・。
 そんな定番物をセンスの良さとうまく耳をつく音楽で上質な、一人一人が魅力的にうつる人間味あるドラマに仕立て上げた。誰もが金が必要で誰もが疑惑を持ち、そして誰もが友人なのだ。
 「レザボア・ドッグス」と違う点はメンバーがみな友人であるという事。それ故に苦悩が生まれドラマが織りあがる。ストーレートであっさりと犯罪人の儚さや切なさを丹念につづっているが一つ残念なのはそれを描ききれなかった所。最後の手前まで褒め称える言葉で一杯になったのだがその最後を女がさらってしまった。
 比較するジャンルが違うが「ゴッドファーザー」や「スカーフェイス」が名作と詠われるのはあの儚さゆえにだろう。「レザボア・ドッグス」に女が出てきたらあの映画はあそこまで良くなっただろうか?女が出るのが悪いと言ってるんじゃない。フェイスは映画の、主人公の男の儚さが、その人生が、生き様が女性のロマンティストに負けたのだ。その辺は女性の好む展開かもしれないがそこに男の美学は存在しない。もちろん監督の味なのだろうが終始いい映画だけに男の映画として観ると少し残念。
 上質上品さよりも時としては粗悪で荒く泥臭い儚さを求めるものだ。だがそれでも心に残る1本になりえる映画だ。


品目:メインディッシュ 高めのデザート

評価:★★★★☆