猫の噛み癖の原因
じゃれ合いの延長:
猫は本来、狩りをする動物です。
猫同士のじゃれ合いは、狩りの予行演習でもあります。
なので、じゃれ合いの最中、噛んだりもします。
ただ、生後2週目~約8週目頃の社会化期と呼ばれる時期に、
兄弟猫と過ごした猫は、じゃれ合いで噛むことで力加減を学んでいきます。
が、社会化期に猫同士のじゃれ合いをせず、人相手に一方的に噛むだけで育ってしまった猫は、
力加減を知らずに育ってしまい、強い力で噛んでしまうようになります。
遊んでいてヒートアップした:
猫じゃらしなどで遊んでいると、だんだん興奮していき、
対象がおもちゃのほうでなく、飼い主さんに向いてしまって噛みつくこともあります。
歯の生え変わり時期:
子猫が乳歯から永久歯に生え変わる時期は、歯がかゆくて何かに噛みつきたい衝動にかられます。
生後三か月から永久歯に変わり始め、七か月ほど続きます。
生後三週間くらいから乳歯は生え始め、そこから二か月かけて生え続けます。
その期間もむずがゆくて物を噛んだりします。
この生後三週間~七か月の間に、噛む癖がついてしまいます。
遊び足りていない:
遊びが足りていないことで、ストレスをためてしまうことがあります。
その結果、飼い主さんを噛んでしまったりもします。
遊んであげていても、物足りなく、もっと遊んでほしくてせがむように噛んでくることもあります。
愛撫誘発性攻撃行動:
猫のほうから撫でてほしくて寄ってきて、
最初は気持ちよさそうに撫でられていたのが、あんまり長時間しつこく撫でてしまうと、
不機嫌になって噛んでくることがあります。
これを「愛撫誘発性攻撃行動」といいます。
不機嫌になる際は、耳が倒れてイカ耳になったり、しっぽが大きく振られて床に叩きつけたりします。
ほか、飼い主さんの撫で方が下手で気持ちいいと思えず、手に噛みついてしまうこともあります。
転嫁性攻撃行動:
窓の外に野良猫がいて、攻撃したいけれどできない。
そんなとき近くに飼い主さんがいて、噛みついてくるなんてこともあります。
これを「転嫁性攻撃行動」といいます。いわゆる八つ当たりです。
ほかにも、大きな音に驚いて飼い主さんを噛んでしまったり、
何か物が飛んできて、それが当たってしまって、飼い主さんに噛みつくなど。
猫が予期していなかったことが起こると、猫はどうしていいのかわからず、
転嫁行動をしてしまいます。
ストレス:
猫は環境変化を嫌います。
急な引っ越し、部屋の模様替え、見知らぬ同居猫の増加などなど、
環境が急に変わるのはストレスとなります。
ほか、室温が暑すぎたり寒すぎたり、構ってほしいときに構ってもらえなかったり、
逆に構ってほしくないときにやたら構ってきたりなど。
ストレスを抱えることで、飼い主さんを噛んでしまうこともあります。
愛情表現:
甘噛みは猫同士の愛情表現です。
飼い主さんに優しく撫でられることが気持ちよくて、甘噛みしてくることもあります。
決して傷つけようとして噛んでいるのでなく、飼い主さんのことが好きゆえの行動ですので、
叱ったりしないであげましょう。
猫の噛み癖の治し方
「痛い!」「ダメ!」など声をあげる:
噛まれた瞬間に「痛い!」や「ダメ!」など、大きめに声をあげましょう。
猫同士のじゃれ合いでも、噛まれて痛いときは鳴き声をあげます。
それにより、猫は強く噛みすぎたことがわかり、力加減を覚えていきます。
猫のしつけは、根気が必要です。
一回ではなかなか覚えません。何度も繰り返していくことで覚えていきます。
遊びを中断する:
遊んでいるときに興奮して噛んでくる場合、
噛まれた瞬間、遊びをやめましょう。
そして、その場から立ち去りましょう。
このしつけはタイミングと、立ち去ることが大切で、
噛んでもいないときに遊びを中断しても、単に疲れて遊び気がなくなったと思われ、
さらに遊んでアピールをしてきます。
また、噛んできた瞬間に遊びをやめるだけだと、一旦休んでいるだけと思われてしまうので、
必ずその場から立ち去りましょう。
これを地道に繰り返すことで、猫は「噛んだら遊んでくれなくなる」ことを覚え、
噛まなくなっていきます。
噛んだら無視する:
猫が噛んできたときは、無視し続けるか、
興奮状態がおさまるまで、別の場所に移して一匹にさせましょう。
ただ、いつまでも無視し続けるのでなく、
興奮状態がおさまったら、声をかけてあげましょう。
このしつけ法は、あくまで噛み癖が止まらないときにのみ使いましょう。
噛まれたら指を押し込む:
手や指を嚙まれたら、つい引っ込めたくなりますが、
逆に押し込みましょう。
噛まれた手を抜こうとすると、余計に傷を負う恐れがあります。
指を口の奥に押し込むことで猫は苦しい思いをし、
「噛むと苦しくなる」と覚えて、噛まなくなってきます。
ただ、指を奥に入れすぎて喉を傷つけないよう注意しましょう。
おもちゃにすり替える:
猫が噛んできた瞬間に、蹴りぐるみなど噛んでいいおもちゃにすり替えましょう。
おもちゃを噛むことで、狩猟本能が満たされ、飼い主さんには噛まなくなってきます。
特に歯の生え変わり時期の子猫は、歯がかゆくて何か噛みつきたい衝動にあるので、
噛むおもちゃを与えて、欲求を満たしてあげましょう。
ただ、おもちゃを誤飲してしまわないよう、
猫の口に入るようなおもちゃは避けて、
猫の口より大きな噛めるおもちゃにしましょう。
ストレス原因を取り除く:
愛猫の様子・行動をよく確認して、ストレス原因がないかチェックしましょう。
猫のストレスサインについて、詳しいことはこちらの記事で↓
猫の嫌いなニオイをつける:
手・足に、猫の嫌う柑橘系のローションを塗っておくことで、
噛みつかせないようにする方法です。
猫が構ってほしくないときに構おうとしない:
寝ているとき、食事の時、グルーミングの最中、窓の外を眺めているときなど、
猫が自分の時間を過ごしたいときは、構ったりせずそっとしておいてあげましょう。
こういったときに手を出すと、嫌がって噛んできたりしますし、
それを続けると猫が人嫌いになり、噛み癖が治らなくなります。
多頭飼いをする:
上記にあるように、猫同士じゃれ合いで噛み合うことで、強く噛みすぎると相手は鳴き、
逆に噛まれることで痛さを覚え、この経験を通して互いの力加減を覚えていきます。
噛み癖を直すのに、もっとも確実な方法と言われています。
が、新しい猫を迎えるのは準備と手順が必要となります。
多頭飼いの仕方については、こちらの記事で↓
トレーナーに依頼:
上記の方法を試しても、あまり効果が見られないようなら、
プロのトレーナーに任せる方法もあります。
※噛み癖のしつけの際にしてはいけないこと
●水をかけるしつけ法は避けるべき
水をスプレーするしつけ法も、よくあげられることがありますが、
水をかけているのが飼い主さんであることを知られずにやらないと、
猫に不信感を抱かせてしまいます。
それに、もともと水嫌いな猫がもっと水嫌いになり、
シャンプーする際にひどく暴れるようになったり、大きなストレスとなってしまいます。
●怒鳴る・叩くは絶対してはいけない
しつけのためとはいえ、絶対暴力はしてはいけません。
これをしてしまうと、飼い主さんに恐怖して近づかなくなってしまいます。
そして、以前よりも問題行動がひどくなる恐れがあります。
●名前を呼んで叱ってはいけない
人は名前を呼んでいるつもりでも、猫自身は言葉がわからないので、
それが自分の名前であるという認識はありません。
叱るときに名前を呼んでしまうと、それが叱るときに使う単語と思ってしまい、
普通に名前を呼んだだけで叱られていると勘違いしてしまうようになります。
●猫に噛まれた場合の発症の恐れのある病気に注意
猫の口から菌が入り、感染症を発症する恐れがあります。
猫ひっかき病、鼠咬症(そこうしょう)、パスツレラ症などです。
噛まれたらすぐに傷口を、5~10分ほど洗うことが大切です。
噛まれた時の対処法について、詳しくはこちらの記事で↓
まとめ
猫の噛み癖の治し方は、
「痛い!」「ダメ!」など声をあげる
遊びを中断する
噛んだら無視する
噛まれたら指を押し込む
噛んできたらおもちゃにすり替える
ストレス原因を取り除く
柑橘系のローションを手足に塗る
猫が構ってほしくないときはそっとする
多頭飼いをする
などです。