コンコンです。
家で読書しております。
ず~~~っと読まずにいた十二国記 丕緒の鳥をこれを機に読みました。
渋いおっさん方のオムニバス、
いずれも役人の苦労を書いていて、
いつもの王様や麒麟といった雲の上の話とは違い地に足がついた内容でした。
丕緒の鳥
冬官(武器、祭事道具、宝物などの職人)のお話です。
既存のキャラ登場が皆無の本書において陽子がちょっとだけ出てきます。
これ読むと陽子はいい景王になるなと思っちゃいますね。
落照の獄
柳の国の秋官(裁判・法務)の話です。
柳をテーマにした話は何気に初ですね。
各巻で傾きかけているという描写がありますがいよいよやばそうです。
通りすがりの子供を飲み代欲しさに殺す極悪人を死罪にすべきか否か、
昨今の日本の死刑制度にも通ずる重いテーマでした。
死罪にせざるを得なかった主人公に罪人は高笑いを、官は敗北を感じ、もやっと終わります。
しかし私の印象ですが、
これはまだ第一ラウンドです!!
改心する気のない罪人側の勝利が確定した彼の土俵での勝敗でしかありません。
この後、彼ら秋官達の頑張りで安易に死罪を濫用する国にしないかどうかが第二ラウンドでしょう。
国が傾くことが分かっている現状では困難ですが主人公たちならやり上げるでしょう。
青条の蘭
地方の小役人の話です。
ブナの森が死滅しようとしている。
放置すれば人里も滅びてしまうというこれまたハードな内容でした。
正直最後までここが何処の国か分からず読んでいました。
林を救うあれこれの苦労がほとんどで、最後の王に薬を届けるまではすぱっと終わりました。
このあたり、戦いが好転すればすぐに結果だけ1ページにまとめる小野不由美っぽいです。
王様は出てこず、樹に実りがあったことで結果を想像させるという手法は素晴らしいです。
風信
春官(祭事を司る役人)の話でした。
暦を作るとかいろんなことしてたんですね。
正直、春官だけはいつも職務がよく分からなかったのでしっくり来ました。
原始的な一次生産主体の世界ではこういう季節に敏感な職種は必須なんですね。
まさか王の帰還まで予見して見せるとは!!
専門馬鹿侮りがたし!!
いずれも苦しい時代の苦難と戦う役人の話でした。
コロナ禍に見舞われている今の世界のようです。
頑張ろうって思えますね。