
1988年ブランズウィックOPEN。
キース・マックレディはブレイ
クからマスワリ完了まで44秒!
彼はカチ割り時代のナインボー
ルのブレイクが非常に巧い。
時々手玉をサイドにスクラッチ
させるが、ブレイクは特筆的に
巧かった。
9個のうち2~4個をブレイクで
ポケットに叩き込み、秒殺マス
ワリをするのが彼のスタイルだ
った。
なぜ撞き急ぐ?
それは彼がギャンブルプレーヤ
ー上がりだからだ。
どんどん撞いて、どんどん稼ぐ。
そうした玉撞きをしてきたから
だろう。
エフレンもそうだが、総じて、
賭け玉育ちは撞くペースがとて
も早い。
だが、アメリカンは観客もそれ
を好む。
エンターテイメント性が高いか
らだ。
アメリカで世界チャンピオンに
なった奥村選手が全米で人気が
殆ど出なかったのは、撞くテン
ポが日本一(世界一かも)遅かっ
たからだろう。
タイムクロック制が無かった頃
には、彼は1ボールで2分以上考
える事もザラだった。
冗長であり、TV放送ウケはしな
い。観客として観ていても眠く
なる。これ、ほんと。
ところが、別シーンでは奥村氏
は撞くのはかなり早い。
あくまでも、別なシーンにおい
て。
サッと勝ち続けて総取り、とい
う感じ。
公式戦では観ていて「早く撞け
よ」と言いたくなるが、それは
現場では言ってはいけないし、
言われたとて動じてはいけない。
何か言うのはルール違反だから
と苛立ってもいけない。
一度、仲間内で集まっての総当
たり戦のプライベート試合で、
あまりに長考している人に対し
て、対戦者が「早く撞けよ」と
言った場面を見た。
言われた人はそこそこ撞く人で
はあったが、それにぶち切れて
玉を外して負けた。
負けたあとに私に「あれ、マナ
ー違反でしょう」と訴えていた
が、玉を外した自分が悪い。
それだけの事だ。
「あ"~?なんか言った?俺に
分かる言語で言ってくんない?
へっぽこ語は俺分からねぇし」
くらいの感覚でスルーしないと、
玉などは撞けない。
人間、全員が聖人君子じゃない
のだから。
圧倒的有利にガンガン先行して
大差で勝っていたキース・マッ
クレディは、エフレンの着実な
追い上げで8-8のヒルヒル場面
に立たされた。
最終決戦のラストラック、エフ
レンがブレイクノーインになっ
た時に、マックレディは会場中
に聞こえる声でエフレンにこん
な小バカにしたような無礼な事
をエフレンのすぐ横で言ってい
る。

これはもろに映画『ハスラー 2』
でマックレディが演じたグレイ
ディ・シーズンズのキャラクタ
そのものなのだが、彼の素だ。
全米トッププロでさえ、人的質
性などはこんなもんだ。
玉が撞けるからと人格良性では
無い。
エフレンは一瞬嫌な顔をするが
シカトでスルーしている。
そして、最後は、エフレンのブ
レイクノーインからマックレデ
ィの裏マスワリの9個取り切り。
9ボールは左手ショットで沈めて
マックレディが勝利、エフレン
をいわした。この時は。
別大会ではエフレンがマックを
やり込めている。

(画像クリックで試合全容動画へ)
また、ある時、これはかなり撞
く人間だが、フォームの話題に
なった時に自分はどうしてそう
いうフォームをするのかについ
てその人は私に説明した。
「こうやって相手を威嚇するん
ですよ」と。
私は答えた。
「見た目とかで相手が威嚇され
るなら、そういうのでビビるよ
うなしょぼい奴しか相手にしな
いって事なのか?」と。
その者は黙ったが、現実的にそ
うだろう。
容姿や態度で委縮したり威嚇さ
れたりビビリちらすのは、それ
はどちらも双方が性根がショー
ト肝すぎるチキンだからだ。両
者とも。
本当に心が強い者は一切動じな
い。ガオー!みたいなのには。
本当にやる奴は淡々と表情変え
ずにやる。
これは実際の戦闘においても。
映画『バック・トゥー・ザ・・・』
シリーズでマーティ・マクフラ
イが「チキン」と言われたらブ
チ切れる設定だったが、それは
本当にチキンだからだ。
チキンでないならば、相手は当
たっていない出鱈目を以て言を
為しているのだから相手にはし
ないし、ブチ切れもしない。
ただ、舐めた口きいてる奴をぶ
ちのめすのは大アリだろうが。
ただ、そうした事は高所恐怖症
と同じで、訓練でも克服できな
い。持って生まれた性分なので。
英雄願望の強い自己承認欲求ち
ゃんは、現実的には存外弱い。
そして、実戦では選抜部隊の隊
員には絶対に抜擢されない。
自分が死ぬだけでなく、仲間を
も窮地に追い込む質性だからだ。
戦いにおいては、その手はかな
り「たちが悪い」部類に分類さ
れる。
戦闘は、お手手繋いで一緒にゴ
ールというようなふざけた最近
の小学校の徒競走ではないから
だ。