刀鍛冶はベルトサンダーを使う。
これは稀代の自家製鐵刀工であ
る上田祐定刀工だけではない。
ほぼ全員の刀鍛冶がベルトサン
ダーを使う。
上田氏は土佐高地生まれ育ち。
岡山の備前長舩に住んで長いが
齢80近くなった今でも土佐弁だ。
高校時代から居合と試斬をして
いたが、自分で刀を作ろうと一
念発起した。まるで山浦真雄の
ようだ。
居合はまず土佐英信流だろう。
土佐生れ育ちであるし、若くし
て転住した土地岡山県も英信流
が主流の土地だからだ。
岡山県の英信流は土佐本伝本流
の系譜に連なる流れであり、無
双直伝英信流の亜流ではなく本
流だ。

ベルトサンダーを使う時に上田
先生は保護グラスをかけている
が、それはとても大切だ。
アマチュアでDIY刃物製作をす
る人は見習ってほしい。
火花=切粉が目に入るととんで
もない事になる。
そして、サンダーがけの時には
長時間作業では耳栓も必須。
これは私なども自社の工場の従
業員の作業でも徹底指導してい
る。
さらに、モーターツールを使う
削り作業の際にはマスクも必着
だ。細かい鉄粉の粉塵を吸うの
で、労務災害防止の面からも防
護マスクも工業界では必着だ。

上田刀工の刀は自ら鋼をたたら
で作り出して作刀しているとい
う全国的でも超レアな作だ。
自家製鐵をやっている刀工は全
国300名いる刀鍛冶でも数える
程しかいない。
上田刀工は日本刀の製法に準じ
た作り方で作った包丁も製作販
売している。
超高級包丁だが、耐久性は抜群
との評判だ。

S45Cは一般的に町工場などでも
使う炭素鋼だ。
炭素量は0.45だが、焼入れすれ
ば一応刃物調にはなる。高硬度
は得られないが。
私も30年程前の鍛造刃物作りの
試し訓練の時にはS45Cをかなり
使った。
加熱鍛打では飴のように延びる。
その後、洋玉鋼のスウェーデン
鋼を打つとダイヤモンドか?と
思う程に硬い。日立白紙とほぼ
同じ成分とはいうが、打ち味は
白紙ともまったく異なる。
S45Cは入手し易い中炭素鋼だが、
本来は刃物向きではない。S50C
などと同じくトンカチなどの材
料にも多く使われる。また鍛冶
職の金床(かなしき。鍛冶業界で
はカナドコではなくカナシキと
読む)もS50Cが使われる事が多
い。
S45CとS50Cの欠点は非常に錆
びやすい事(笑
今は大型機械のスプリングハン
マーがあるので金床も作り易い
だろうが、平安鎌倉室町江戸の
頃は、金床を作るのは大変な作
業だったと思う。
向こう鎚三丁がけで作ったのだ
ろう。