
玉撞きは40年やっているので、
ある程度はそこそこ撞ける。
昔、ポケットビリヤードが全国
的に大流行した1980年代末期、
男も女も街中で玉撞きに興じた。
同行した人も「教えて」という
ケースも多かった。
特にビリヤードは初めてだとい
う女性に一から手ほどきすると
判る事がある。
同じように何度教えてもできな
い人と、最初からスパッとでき
る人がいる。
駄目な人は「頭は傾けずに真っ
直ぐ垂直に」と何度言っても素
人射撃のように頭を横に傾けた
りするし、テーブル上のレスト
を何度教えてもきちんとできな
い。やらないつもりか?という
程に。
ところが、できる人はアドバイ
スした通りに完璧に最初から基
本をこなす。
基礎を初めからピシッと外さず
にやるので、玉もポンポン入る。
できない人の特徴は、できない
のですぐに飽きてしまい、撞く
のを短時間でやめる。
人には運動能力に筋の良し悪し
というのは確実にあるようだ。
運動音痴かどうかとは別に。
その傾向性の特徴としては、人
の話をよく聴く人は筋が良い結
果を示す事が多い。器用不器用
関係なく。
手を替え品を替えで何度言って
も全くできない人は、そもそも
が人の話を真剣に聞いて咀嚼し
ようとしない。
多くの人に撞球を指南とまでは
いかないがレクチャーしてきて、
この二つに大別できる人々の特
徴に気づいた。
性別年齢関係なく誰でも対戦で
きる数少ないスポーツがビリヤ
ードだ。
二輪ロードレース世界チャンピ
オンだったヤーノ・サーリネン
は言った。「ボウリングができ
る体力があればモーターサイク
ルには乗れる」と。
ビリヤードの場合は「箸を持つ
体力があればビリヤードができ
る」だ。
だが、やる人によって大きく道
が分かれる。
「できる人とできない人」が極
端にキッパリと最初から分かれ
るのがビリヤードでもあるから
だ。
それはもう、最初から分岐して
いる。
ビリヤードの特殊性だろう。
ダーツが大衆的に大流行する筈
だと思う。特に今の時代には。
投げればとりあえずは刺さる。
ボウリングはボールを転がせば
さしあたってピンは倒れる。
ビリヤードはきちんと基本を外
さずにやらないと、手玉が的玉
に当たらないどころか、キュー
で手玉の狙った点を撞く事さえ
できない。
ビリヤードなどは流行らない筈
だ。ある程度、きちんと基本が
できないと成立しないゲームだ
からだ。
ただ、日本人には撞球という競
技は合っている。陸上短距離競
技等ではなかなか世界の上位に
行けないが、撞球は別だ。
これまでポケットもスリークッ
ションも日本人の世界チャンピ
オンは何人も出ているし、戦前
から日本は世界有数の撞球王国
で、日本人選手が世界選手権で
大活躍していた。
上皇陛下もかなり撞球ができる
人で、皇族の嗜みの域を超える
撞球好きの御方だ。
日本人自身が玉撞きを始めたの
は明治維新以降であるが、鹿鳴
館にも撞球台が6台設置されて
いた程で、紳士淑女たちだけで
なく、市井の市民も日本人は広
く明治から撞球に親しんでいた。
技巧的種目は日本人はかなり得
意のようだ。
簡単な種目ではないが、基本を
外さなければビリヤードはどん
どん実力が着いて来る。
そして不思議な事に撞球という
種目には「衰え」は無い。将棋
と同じく。
若いバリバリの選手が老齢の撞
球師に負けたりもする。
ビリヤードは「下手になる」事
がほぼ無い。
とっかかりはハードルが高いが、
やり始めたら停止を知らずに実
力がどんどん着いて走り続けら
れるのがビリヤードという特殊
なキュースポーツだ。
やれるようになると、実に面白
い。