日本刀の白く研ぎ師が描いた部
分の事を「刃文」だと思い込ん
でいる素人が日本人には多い。
違いますよ。
刃文というのは焼刃の頭の事。
刃部の白い部分は研ぎ師が豆粒
ほどの小さな砥石を薄く割って
和紙に貼り付けた専用のコッパ
砥石で磨いて白くしている「化
粧研ぎ」なのよ。
本物の刃文をドンズバ見せる研
ぎは「差し込み研ぎ」といって
拭い工程のままで刀の素顔を見
せる研ぎ方。
差し込みも大別すると二種類の
方法があって、現在は殆どが金
肌拭いという薬品を作って地鉄
を青黒く仕上げる。
古伝のような砥石による差し込
み技法ができる研磨師は激減し
ている。

本当の刀の素顔を見るには、刀
身を寝かせて、目の高さにして、
黄色系の灯りを30度の角度に当
てて見ないと、真影は見えない。

ただ、差し込みはそれが似合う
刀とそうではない作柄もあるの
で、取捨選択が必要。
現代研ぎの特徴は、地を黒く、
刃部を刃文が見えない程にベッ
タリ白ペンキ塗りみたいに研ぐ
どぎつい厚化粧が主流。
新作研ぎコンテストなどではそ
のような厚化粧でないと入選し
ないというふざけた時代になっ
てしまっている。
刀剣界では「おいらん研ぎ」と
呼ばれて下品な厚化粧としてか
つては忌避されて来た。
だが、現代では素顔隠しの厚化
粧が美人であるかのようにもて
はやされる。日本刀の世界でも。

本当の刃文が見えにくい作柄も
あるので、日本刀の鑑賞はその
作者の作為を真に見抜く事をし
ないと、刀は見えて来ない。

この私の差料の一作、本当の
刃文がどこだか判りますか?
刀が見える人には見える。


この作にはこのような研ぎがベ
ストマッチで、私はとても満足
している。京都の腕の良い日本
刀研磨師の先生の仕事。
実刀を手にして観ると、研ぎの
仕事ぶりに唸らされた。
とても上品な研ぎだ。
かといってぼやけたものではな
く、雅の中に凛とした覇気あり。
舞妓はんの厚化粧ではなく、和
服を着て鴨川の畔に佇む京美人
のような、はんなりとした中に
芯の強さを静かに持つ、という
風情の研ぎ。
良い。

15才~20才という女性の輝かし
いほんのひと時の時代の中で生
きる京の舞妓さんは、それはそ
れで芸事の修行と共に女性特有
の美しさを持つけどね。
舞妓さんはただのそこらの厚化
粧とは別物。江戸期の公家男子
の白粉に一面似たものがある。
そして、舞妓の御座敷は一元さ
んはお断りだし、金額も超高額
なので富豪しか座敷に呼べない。
江戸期から政財界の大物大尽し
か御座敷では遊べないという事。

舞妓さんは、存在自体が輝いて
いる。厳しい修行があり、誰で
もなれるものではない。
独特の愛らしさはお人形さんの
ようだ。
女性の美しさを最大限に純化さ
せて引き出しているのが舞妓と
宝塚ではなかろうか。宝塚も学
校時代の躾は超絶厳しい。
あれに似ている。バレリーナの
厳しさの向こうに得られる美し
さに。



外国人は何が「フジヤマ、ニンジャ、
ゲイシャ」だよ。舞妓だよ、舞妓。
マイコー、サイコー、フォー!
なんだよ。