
「鍛冶屋にそっただ削りができる
わけねえべ」
あるナイフマンは私に言う。
私もその通りだと思う。商品が来
た瞬間からそれは思った。
これはバークリバーそのものだ(笑
海外への外注品だろう。
多分、製造元は杭州巨星有限公司。
今や世界中の殆どの刃物・工具の
製造を手掛ける世界一の企業だ。
但し、個体を見る限り、物は極上
に良いので何ら問題はない。販売
リリースが国内刃物メーカーとい
うだけの事だ。
在庫あれば即納との事でも発注か
ら到着まで2週間程かかった。
なお、在庫なき場合には発注から
90日を要すると販売店が説明する。
明かに海外、中国製だろう。
そして、製造元はグレートスター。

今や、世界中のナイフの多くが中
国企業で製造し、それを自国に輸
入して自社ブランドとして発売し
ている。北欧ナイフの多くもそう
だし、アメリカンナイフなどはカ
スタムナイフを除いてほぼ全部そ
うだ。
だが、北欧フィンランドにおいて
はそうした分業制が古くから行わ
れていて、フィンランド国内でも
ブレードを製造する業者は限られ
ている。(最近フィンランドの有名
老舗企業が全製品の製造を中国に
委託するように変更された)
フィンランドでは、そうした製
造元のブレードを仕入れて、自
社や個人でハンドルとシースを
作り、自社製品として販売する
事があたり前のシステムとなっ
ている歴史が長くあった。
日本でも古くから刀剣産地では
そのような分業制が構築されて
いた。膨大な戦国時代の需要に
応える為だった。
別段、中国製造元への製造発注
は悪い事ではない。国産メーカ
ーがそれを自社「商品」として
販売する事も。
日本でも古くから日本刀だけで
なく、包丁などでも外注での製
造はごく普通に行われていた事
だ。販売店が包丁などは造らな
い。刀屋が日本刀を作らないの
と同じく。
ただ、日本刀以外の刃物は、特
注誂え指定以外は販売店のブラ
ンド名を付与されて商品として
販売されて来たのが刃物だ。
木屋が包丁などは製造しない。
西勘にしても然りだ。
問題は品質とPL法的な製造者責
任だけだ。
物が良ければ問題はない。
そして、大陸中国製のナイフに
関しては、安かろう悪かろうの
時代はとうに20年程前に過ぎて
いる。今や世界トップレベルの
「加工技術」を有している。
コンピュータ制御のマシンで寸
分たがわずに削り出し加工をし
て製品化できるのが今の中国だ。
だが、ゴムなどの化学工業製品
はまだまだ日本等の工業先進国
には遥かに及ばない。あと油脂
類の品質。
しかし、それもそのうち日本は
追い越されるだろう。
中国の教育と育成にかける金と
社会構造は半端ないから。
当然、モノヅクリの分野は躍進
する。
中国製のナイフだからと毛嫌い
する理由は一つもない。
今やブローニングやガーバーや
バックや他のアメリカンマスプ
ロナイフはほぼすべて中国製だ
し、日本の刃物メーカーでさえ
中国で製造させてそれを自社製
品として販売している企業も多
い。包丁メーカーでさえも。
ただ、私がバークリバーを1本
も購入しなかったのは、それは
あまりにも見え透いているのに
露骨に「最初から最後まで一貫
した米国製」を謳い過ぎていた
からだ。そこに売り手としての
良心は感じられなかったし、価
格帯は正味のところ、暴利だと
思っていた。アルテマが5000円
の販価でも利益が出るのが、バ
ークリバーも同様の仕入れ原価
であるのは明白だったからだ。
バークリバーフルコピーのマサ
ノが初期販売価格が14000円。
それでも十分に利益が出るのだ。
卸仕入れ原価は想像がつく。
故に、バークリバーについては
一切購入はしなかった。
1丁5~6万円台の販価の付加価
値があるナイフではなかったか
らだ。
いわば、ダイヤモンドのような
商売をしているのが見えていた。
ゆえに買わなかった。
バークリバーが2本以上買える
オールドランドールや他の非公
開のカスタムナイフを購入して
もだ。
私はブランドステイタスに金を
払う気は、刃物だけでなく他の
物でも一切無い。物の良し悪し
とその実質的な価値と販売金額
の折り合いで判断する。
品質抜きでブランド銘柄のみで
うひゃひゃ欲しいね、となるの
はクリームソーダの商品だけだ。
クリソーの製品は品質は決して
良くない。だが、クリソーは山
崎ピンドラスピリットがあるの
で好きなので購入する。あれだ
けは品質云々では買ってはいな
い。例外中の例外だ。
クリソー製品がプレミアがつい
て高額市場取引されている現状
を見て、元店長(開店初期から
の店長)だった誠一郎さんは嘆
いていた。「うちのはそういう
商品じゃないのに」と。
安くて気軽に流行に関係なく
買えるのがクリームソーダの
商品の持ち味だし、それを創
業者の山崎さんは追求してい
た。
「流行を着るのが一番ダサい」
と。
また、山崎さんは指摘していた。
「みんな資本主義に毒されす
ぎなのでは」と。
全く以てその通りだと私も思う。
バークリバーのナイフなども、
流行によるブランド志向がアウ
トドア分野まで進出した結果だ
ったのだろう。虚構の銘柄人気
によって。
物さえ良ければ何も問題は無い。
ただし、製造元が海外だと、い
つ供給がストップするかわから
ない。そこにこそ焦点を合わせ
ないとならない。特に刃物はそ
うだが、それ以外の物品も。
世界各国の軍隊が小銃だけは自
国産にこだわり続けるのは、そ
うした国際構造があるからだ。
今の時代、バドワイザーもコロ
ナビールも中国製だ。
もちろん、普段私たちが着用し
ている服の繊維の糸までほぼ全
てが中国製。
口先だけでいくら勇ましい事を
言って嫌中を露わにしても、そ
れは「パンツ脱いでから物を言
え」というやつ。5時間かける
舐められない服選びはまず糸ま
で含めて純国産の服を着てから
物を言え、というやつなのだ。
外交手腕とはそうした感情的な
排外主義では何も生まれないの
は明らかだ。
いや、生まれる。
軋轢と確執と国際対立と相互確
認の信頼の上に立っていた既存
関係の破壊という負の歴史作り
の条件が生まれる。
しかし、感情に任せて後先考え
ずに国の首脳が物言いするのは
国際外交ではない。
世界一の我儘ジャイアンの真似
するバカは、間違いなくバカを
見る。
苦しむのは国民だ。