北欧フィンランド北部ラップ
ランド地方に伝わる伝統ナイ
フの事をPuukkoと呼ぶ。
日本語で最近増えた見慣れな
い書き方で「プーッコ」とい
うものが増えているので、う
ちのMCの人に本当の発音を
聴いてみた。幼少期から少年
期に父親が海外駐在武官の家
で育ち、フィンランドでも長
年暮らした事のある人だ。
するとごく普通に「プーコ」
と発音していた。最近の記載
カタカナ表記について私が言
うと、殊更にそういう表記を
せずとも単純に「プーコ」だ
という。ただ彼の発音は「プ
ッコ」に近かった。だが、無
理やり通常の日本語には無い
書き方で「プーッコ」とする
ほどの事でもないように思え
る。
どっちでもいいのだが。レー
ガン大統領でさえ最初はリー
ガンとも書かれていた。
ウェイン・レイニーもワイン・
ガードナーも本当はどちらも
ウェインという発音なのだが
日本語表記ではかき分けてい
るし、オードリー・ヘップバ
ーンはヘボン先生と本当は同
じだし、スティーブン・セガ
ールはほんとの発音はシーゲ
ルだ。

プーコのナイフの独特な形は
スカンジナビアンスタイルと
呼ばれている。あるいはラッ
プナイフ、と。
生活刃物としてだけではなく
古くからの戦闘武器でもあっ
たプーコは、人に贈呈品とし
て贈られる事も多い。
プーコを贈られるという事は、
仲間として認められた証であ
り、フィンランドではとても
名誉な事とされている。
帰国子女である友人も、フィ
ンランド在住時代に人から頂
いたというプーコナイフを今
も持っている。
このフィンランドの伝統は、
それはどこか日本人が同友で
あると認めた人に刀を贈るの
に非情に似ている。
奇しくも、先の大戦では、フ
ィンランドは日独伊の枢軸側
となり「敗戦国」となった。
古い日本とも気脈が通じる点
が歴史的にあったのかもしれ
ない。武器としての刃物を人
に進呈し、それがこの上なく
喜ばれて、栄誉であり認め合
う証である、というのは世界
の中でもフィンランドと日本
位しかあまり耳にしない。
尤も、今の日本は伝統もへっ
たくれもなく、平気で腹の前
で両手を合わせてお辞儀する
朝鮮式お辞儀を正式な日本人
の礼儀と勘違いして、日本文
化を破壊する人たちだらけだ
が。

また、フィンランドのラップ
地方に伝わる白樺のコブを削
って作ったサーミ人のククサ
という伝統民族木製カップも、
自分で買い求める物ではなく、
親や友人から与えられて認め
られる風習があるという。
友愛の証としてククサは存在
していたし、今でもそうした
気概と気風は残っている。

イタリアに住む日本人の方か
ら頂いた本物の北欧産のクク
サ。今でも大切にしながら愛
用している。
私にとって至高の頂き物だ。
これ以上はない。新型バイク
1台分などよりも遥かに大き
い。この含む魂の思いは深く、
重い。2016年3月に頂戴した。


こうした心のやり取りは、理
解が及ばない人たちには全く
理解できないらしい。ラップ
ランドの民族の魂だけでなく、
日本人の魂さえも。
子が生まれるからと日本刀を
無償で守り刀として作ってく
れて刀工自身が進呈してくれ
たり、心の証として日本刀を
大小にかかわらず人に贈呈し
たりとかの心を理解する事は
ないようだ。
「日本人」と一概にいっても、
そういう人は存外結構多い。
「失われたもの」の一つがそ
うした「人の魂」であるから
だろう。

スウェーデンのモーラもノル
ウェーのヘレもそうだが、北
欧のナイフは全域でフィンラ
ンドのラップナイフに形が似
ている。



ウクライナは北欧三国からは
やや離れてはいるが、ブレー
ドや構造はラップナイフの影
響を強く受けていることが判
る。
ブレードのグラインドはいわ
ゆるスカンジグラインドと呼
ばれるセーバーカットであり、
日本人にも違和感がない刀身
形状だ。



北国のナイフは鮮烈だ。
そして、実は日本刀において

も、北国物は寒冷地ゆえ厳し
い存在条件が強いられる為、
頑丈で粘り強い鋼に鍛え上げ
られた日本刀が多い。
だが、それを知る人は少ない。
人の心、たれか知るらむ。