ポケット・ビリヤードの標準
穴幅は玉2.2個(かつては2.4個)
なのだそうだ。
そして、トーナメント・エディ
ションと呼ばれる穴を絞った
台が玉2個分の穴幅。
それで大会が行なわれる。
温泉ピンポンのような素人観光
地ビリヤードではないのだから、
選手が向かう台は最低でも1.7~
1.8幅にしたほうが真の実力対決
が見られてエキサイティングだ。
US公式メジャー大会がとても
シビアな台のように。
シュートの帝王マイク・シーゲル
は1988年に日本の大会に来日した
時に、「穴が広すぎる。私はUS
の渋い台で5連続6連続ランナウト
を出すが、この日本の台では広
すぎて実力差が現れない」と苦言
を呈していた。
日本はその頃は公式戦もノーマル
の2.4~2.2玉幅台で開催していた
からだ。いわゆるガバガバ。
レール際は玉が2ポイントクッシ
ョンに入ってもポケットしてし
まう素人向けのようなポケット
テーブルだった。
公式戦でも、プロ試験も、何も
かもそんな台だった。
1.6~1.7あたりに穴を絞った台は、
裏筋玉界の人向けの玉屋の華台
に限られていた。ごっついモノ
が動く勝負用だ。
ポケット・ビリヤードを1.6玉
幅穴台で覚えた私は思う。
ポッケの幅は狭い方が良い、と。
それは種目としての実力が向上
するから。
1.8穴幅台が「標準」となれば
いいのにと思う。
スヌーカーやチャイニーズエイト
のような厳しい設定にプールも
したほうがスッキリする、と。
私のかつてのホームの1.6穴台は、
あれはとても厳しい台だった。
スレートの穴奥も深いし。
ポケット・ビリヤードを始めて
毎日撞いて、その台でナインボ
ールのマスワリが出るまで一ヶ月
かかった。
集中し過ぎていて、ブレイク&
ランナウトした時に自分で気づ
かず、プレーを凝視していたSA
の先輩と店主から「おめでとう!」
と言われた。そこで「え?」と
なった。
上級者でも難しい台なので、そ
の台で初マスワリが出たら瓶の
コーラ1本を店がマスワリ達成
者にその場でプレゼントしてく
れるという店ルールだった。
私はキリンの大瓶が店に常に
売るほど(笑)置いてあるのが
嬉しかった。
飲むときは麒麟麦酒を大瓶6本
位一晩でそこで飲んでた。
ポケット台は1台のみ。
マスターはスリークッション
選手。店にはもう1台、スリー
の台があった。スリーもポッケ
も台は手入れ抜群だ。
バラックのような古びた建物
の2階だったが、落ち着ける店
だった。通いは毎日だよ、毎
日(笑)。
品川区武蔵小山の店。そこが
ホームだった。
1980年代中期の事だ。
東京の老舗なので、当時のミニ
コミ専門雑誌『ピカソ』(のち
に『ポケット・ハウス』)にも
広告が載っていた店。
「ピカソ」は国内専門誌『ビリ
ヤードマガジン』より以前に創
刊されていた国内初のビリヤー
ド(ポケット)専門誌だった。
私は毎号取っていた。
掲載記事は非常に内容が濃かった。
特に1987年のビリヤードブーム
到来以前の号では。