鎌倉時代以降から続く日本
有数の刀剣生産地、美濃の
関。(現在の岐阜県関市)
現代までも日本刀、刃物、
鍛冶の地として存続してい
るのは日本国内では関だけ
だ。
戦国期には関の日本刀は強
靭な利刀として戦国武将た
ちに愛された。
また、中世最末期には関の
刀鍛冶は全国に移住し、日
本刀の新時代でる「新刀」
の祖となった。
戦国時代の終焉と共に全国
の刀剣生産地(五箇伝の地)
は消滅し、各大名の城下に
刀鍛冶は転居し鎚音を響か
せる事になった。
そして、武家政権の消滅と
共に、全国の刀鍛冶たちは
ほぼ全てに近い数が消滅す
るに至った。
だが、美濃の関のみは違っ
た。
生活用品の刃物生産に主軸
をシフトさせて命脈を保ち、
世界各国のブランドの包丁
のOEM製造だけでなく、ア
メリカやドイツをメインと
する世界のナイフの製造を
手掛けるようになった。
今でこそ、コンピュータ制
御のCNマシンを使った中国
に西側大国のナイフは生産
地を移動させたが、関は今
でも健在だ。
こうした事例は世界史の中
でも極めて珍しい。
ゾーリンゲンにしろ北欧ラ
ップナイフにしろ、時代と
ともに斜陽して消滅もしく
は海外OEMでブランドを保
つようになってきたからだ。
ドイツの有名な刃物メーカー
の製品も作っているのは日
本の関だ。

私の親戚がヨーロッパ旅行
に行って、喜んでドイツで
包丁を買って来たが、それ
は日本製であり関で作られ
ものだ(笑
それを伝えるとイトコは驚
ていたが落胆よりも嬉し
そうな
笑顔を見せていた。
「なぁ~んだ、そうだった
の~」
と言いながら。

日本が世界に誇れる一つの
文化。
それは「日本は完全に刃物
国である」という揺るぎ
ない
一千年以上の歴史と文
化が強固に存在する事だ。
優れた刃物があったから世

界一の木造建築物も作れた。
世界一の刃物は芸術の域ま
昇華した日本刀であるの
疑う余地がないが、他の
刃物
も日本が地球の中で一
番優れ
ている。
そして、世界各国のキッチ
ナイフ/クッキングナイ
フ=
包丁は、全てが日本の
包丁を
参考に作られるよう
になった。

日本の包丁は奈良時代以前
の元々は貴族の実用ナイフ
の刀子(とうす)に似た形
しており、その後は刀の
短刀
のような形状になった。
ちなみに日本刀のうち刀=
打刀は
太刀が短くなったも
のでは
なく、サスガが長く
発達し
た物だ。
そして、日本の包丁は実用
専用刃物から発生して発達
し、独自の進化を遂げた。
江戸期以前の日本の包丁は

刀子や短刀のような形状だ
った。
それが戦国末期あたりから
包丁の刀身にアゴ部分が誕
生し、江
戸中期に完全に現
在の形状で
完成を見るに至
った。

今私たちが家庭で使い、ま
料理人たちが使っている
包丁
の形は武士がいた時代
に登場
したものをそのまま
継続して
使用しているので
ある。


日本は鉄の国。刃物の国。
そして日本刀と料理包丁は
本固有の伝統遺産だ。








刃物は食を通じて、人々に
笑顔
と幸せをもたらす。
刃物は幸福を運んでくる存
在なのである。