2018年楽器フェアで好評を得て、実機販売に向けて度重なるテストに実際のライブ、イベントで使用し様々な問題をクリアしてきたエンジニア李氏の技術が結集したミニアンプ『KS80』ですが、様々な諸事情により『僕のシグネイチャーモデル』として発売する事を断念する事となりました。

理由はいくつかありますが、第一に僕がこのアンプの開発に携わり様々な要求に応えてくれる李氏との二人三脚でより良いものを目指してきた中で、僕が求めるものがより明確になったという事です。そもそも『KS80』は僕の所有する李氏改造のオールドプレキシマーシャルがあらゆる場所に持ち込めないという事情から『持ち運びが出来る小さなアンプ』をテーマに、VOXの『MV50』シリーズを開発した李氏により真空管アンプの特性を発揮した高出力の小型アンプを制作して貰い、非常に高いクオリティのものとなったので楽器フェアに出展、そして商品化し販売という流れで動いておりました。

その過程の中で僕が本当に目指しているものが何かという事がより明確になり、より我儘に『自分が真に求めるもの』が作りたくなったのです。

『KS80』のコンセプトはあくまで僕が使用しているマーシャルアンプに近い(ABテストを繰り返し自分の耳で確かめる事でその場で李氏にリアルタイムで微調整を行って貰い、かなり追い込めました)サウンドを目指したものですが、僕にとってロックギターにおけるマーシャルのプレキシトーンはある意味完成形でそれはすでに50年以上も前に確立されているものだという事に改めて気づかされたというのが本音であり、全く違う概念でしかもアナログ回路でエミュレートする李氏の圧倒的な能力には驚かされるばかりですが、だからこそ尚更「それとは違う世界」をクリエイトしたくなったのです。

僕は真空管アンプの最も重要な部分は「パワーアンプとスピーカー」にあると考えています。しかしながら『KS80』は小型化を優先する為にパワーアンプにはクラスDを採用している為、完璧に同じレゾナンス効果が得られるとは言い切れないのですが、逆にトランジスタのクリアさが僕の理想とするトーンのイメージに近い事が改めて実感できたのです。

このトーンを究めていくには現段階のコンセプトである『オールドマーシャルに近いサウンド』とはよりかけ離れていき、あくまで僕が求めるクラシカルなヴァイオリン・ヴィオラ・チェロに匹敵するようなトーンを出すためのアンプという方向性となります。

それこそが僕の『KS』を冠するアンプとなるのではないか?と自分で改めて考えた時『KS80』は僕のシグネイチャーではなくより広く一般の人に利用して貰える様な形で発売したほうが良いのではないかと考えました。僕のシグネイチャーとなるとやはりロイヤリティも加算されるので価格の方も必然的に高額になるわけですが、その点も李氏のブランドでの発売となればそこも回避出来ます。

大盛況だったレッドブースでのデモンストレーション


そもそも『KS80』は僕が理想とするトーンを形にしたものですが、結果的にはその技術の全てがエンジニア李氏の力によってもたらされたものですから、むしろ李氏のアイデアとイメージが形になったものといっても過言ではないと思っています。

今回僕はこのアンプを李氏自身のブランド『LCA(LeeCustomAmplifier』より発売して頂くことによって僕の理想とする『KS』アンプはその先を目指すという形で制作に携わっているメンバーと話し合いをさせて頂き、全員の合意を得ることが出来ました。

一時は凍結・発売しないという形も考えたのですが、せっかくここまで作り上げたアンプですし、すでに希望されている方も確実にいらっしゃるので、僕としても求めている方に届けたいという思いはどうしても捨てきれずにおりましたので、李氏ブランドでの発売はアフターサービスなども含めるとむしろよかったのではないかと考える部分も多々あります。

僕はロックギターといわれるジャンルにおいてより音程を低音化し、電子的なトーンへ時代は進む中、アナログでかつ中低音から高域に伸びるトーンを求めている身としては時代とは逆行する形になっても自分が求めるものを追求したいと考えておりますので、今後とも李氏の力を借りつつ『なにものでもない音』を作り上げていきたいと考えています。

『超絶元年』の僕にとって一切の妥協はせず真に自分の求めるものを追求していく事こそが最も大切なので皆さまには今後もご迷惑やご心配をおかけする事もあるかもしれませんが、くれぐれもご理解頂き温かく見守って頂けると幸いです。

とにかく僕にしかできない事を実現すべく精進して参りますので何卒応援よろしくお願い致します。

 

今後のアンプに関するお問い合わせはオリジナルアンプとして発売するチーフエンジニアの李 剛浩氏にコンタクトを取ってください。

 

李剛浩(Masahiro Lee)

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KellySIMONZ