一時間後に切れるように設定する
私は 一時間後の私が
気になって眠れない
扇風機が切れる音を耳にするのか
深い眠りの中で夢を見てるのか
さてはて、わからない
九月も半ば
一匹の蝉が鳴いている
心が 若しくは
心臓が音を立てる
カタカナにすると キュキュ
「もう鳴かなくてもいいの」
もう鳴かなくてもいい
ハードディスクドライブが
音を立てて動き出す
カタカナにすると
キュキューゥ キッ
私の知らない世界で
テレビ番組の録画が開始される
後でゆっくり観よう
明るいうちに公園へ散歩に行こう
塩屋さんがあるし
梅干し屋さんもある
私には知らないものが
何だってある
この世の中には
公園がたくさんある
パーク も公園という意味を持つ
公園へ行くには
パスポートはいらない
それ以上は何も詳しくない
公園を作ったことがないし
言わずもがな
公園へ行く側の人間だからだ
背もたれが 後ろへ
まあるくなっているベンチに座る
足元には煙草の吸殻と
スーパーのチラシ
バレてもいいけれど
誰にもバレないようにチラシを見る
思わず「安ぅ〜」と言った
ような気がする
公園の外周を
何度も何度も自転車で
外国人の親子が走っている
聞こえる言語は英語だ
聞き取れたのは
「ユー アー チャンピョン!」
のひとこと
私はチャンピョンではない
ベンチに座るオンナ
鳩の鳴き声が
けいこーけいこ!
けいこーけいこ!
に聞こえて
思わず上を見た
私の頭の上には
蚊柱が伸びていた
九月ももう終わる
鏡を見て
パジャマの襟を正す
「昔好きだったものを思う」
という言葉が浮かんだ
実際に深く
その物事を考えているわけではない
ただ言葉が浮かぶだけのこと
よくあるでしょう?
そして
茶色のソファに深く沈み込む私は
ソファに寝転ぶオンナ
脳みそが キュキュー キッ
私の知らない世界が始まる
