さっきまでかぶっていた
麦わら帽子を嗅いでみる
汗の匂いと麦わらの匂い
私の鼻に、夏が届いた
バイクで駆け抜ける山道
産毛が風を離さない
生やしておいた産毛を
とても愛おしいと思う
私の産毛に、夏が届いた
ベッドの側にある窓を開けた
待ち構えていたかのように
入ってくる蚊や虫
私の部屋に、夏が届いた
汚れのこびり付いた歯を
剥き出しにしている
私のさくらにも、夏が届いた
お気に入りの新書を片手に
同じ文章を行ったり来たり
頭の中は、夏につられて
私の片手にも
頭の中にも、夏が届いた
こんなに気持ちのいい夏に
苦しみや悲しみがあることさえも
いっそのこと私のせいにして
私の夏は、世界で一番だ


