※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称などは架空であり、実在のものとは関係ありません。

 









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お久しぶりです。

結婚物語。仲人Tです。

 

昨年の末にブログがブレイクし、

私の生活は一変しました。

 

入会希望の方が殺到し、本の出版が決まり、新聞の取材が入り、メールは多い日には200件を超えました。

 


あの頃、


ただただいろんな人が話題にしてくれることを喜んでいた私は、


ネットの恐ろしさを全く分かっていなかったのです…。

 

 


これは、私と、

私の所属する相談所の物語です。

 


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私の周りで奇妙な事件が起こり始めたのは、

年明けからでした。

 

入会希望や恋愛相談のメールに混ざって、

変なメールが時々来るようになったのです。

 




「パンツの色は何色ですか?」というメールが来たあたりでは、まだ「ピンクと黄色と白だよ!好きなブランドはリサマリだよ☆」と相手の脳内に語りかけるくらいの余裕がありました。

※返信はしない

 


「お前のブログは最悪だ!お前のように男が奢って当たり前だと思っている女は、一生結婚できない!」と、虎舞竜の「ロード」と同じくらいの長さのメールが来た時も「🎵なんでもないような記事に〜苛立ち過ぎだと思う〜あと私は既婚だしダンナはずっとワリカン〜♪」と歌いながらゴミ箱に叩き込みました。

 


愛するはてなブックマークで色々あった時はさすがにちょっぴり凹みましたが、「こ〜の世界からの〜卒業〜」と、一抹の寂しさを覚えつつ、見るのをやめました。




私の鋼メンタルは、この程度でやられるレベルではありませんでした。

 



しかし、ネットの本当の恐ろしさは、

そんなものではなかったのです。

 

 

 







ある日、知人から、

「あなたのまとめサイトができている」といわれ驚いて見に行くと、

 

会社のホームページに載せていた私の実名と写真に始まり、出身高校・大学や実家の住所など、

 「えっこれ絶対知り合いが作ってない?」

的なページが存在したのです。


 

 






私は戦慄しました。

 




バズるということは、

こういうことなのだ。

 





このまま知られたくないこと、


例えば昔の恋愛のことなどを、

書かれてしまったらどうしよう。

 






もし、ひた隠しにしているあの過去が、

夫やお姑さんにバレてしまったら?

 









中学の卒業文集で、

 










好きなタイプ:飛影

 

と書いたことが晒されたら、

舌を噛んで死ぬしかない。

 




私は、あまりのショックに憔悴しました。


ご飯も喉を通らずパンを食べ、

夜も眠れずpixivを読みふけりました。

 




心配した所長がホームページから私の写真を消してくれ、神戸新聞の記者さんも、私の実名が載った記事をすぐにネットから下げてくれました。

 





色々あってまとめサイトが消え、

ホッと胸を撫で下ろした矢先のことです。

 

 

私は、ツイッターで、

 

私の顔写真をアイコンにして、

私の悪口を言っている人を見つけました。

 

しかも、その写真は、私のラインのアイコンの写真(ネットには出ていない)だったのです。

 




嘘だと言ってよバーニィ!!

 

 



所長が顧問弁護士さんと話し合ってくれ、警察に犯人を突き止めてもらおうという話になりました。しかし、そうすると犯人に前科がついてしまう。さすがにそれは可哀想に思えました。

 


そこで私は、警察ではなく、当社で成婚した探偵さんに頼んで個人を特定し、犯人の実家と会社に、私が書いた触手×所長の18禁同人誌(表紙の8割が肌色)をクリア包装で送ろうと主張しました。

 



結局「その方が絶対に可哀想」という弁護士さんと「触手って何!?18禁って何!?どういうこと!?えっもう書いたものがすでにあるっていうこと!?」と動揺する所長に阻まれ、同人誌送付計画は頓挫しました。

※まだ書いてません

 










色々あり過ぎて、疲れ切って家に帰った私。

バタバタと子供に夕食を食べさせ風呂に入れ、なんとか寝かしつけ、たまった家事をやろうとしたその時、



一本の電話がかかってきました。

 




それは、疎遠になっていた知人からでした。

 

知人はブログがブレイクしたこと、私が本を出すことを人づてに知ったそうで「おめでとう!知り合いが作家だなんて、私もすごく嬉しい!」と言ってくれました。彼女の喜ぶ声を聞いていると、私のささくれ立った心も落ち着いていく気がしました。




 

かれこれ10分くらい私を手放しで褒めてくれたあと、知人は言いました。

 




「あのさあ、

お願いがあるんだけど、

 







ちょっとお金貸してもらえない?」

 

 

 








私が、印税は本を出版する前には入ってこないこと、そもそも会員様に還元するために印税は私ではなく会社の口座に入ることを告げると、彼女は舌打ちをして電話を一方的に切りました。

 

 






電話が終わった後、

私はしばらく、動けませんでした。

 



リビングの真ん中に座り込んだ私の目に入ってきたのは、散らかったおもちゃ、汚れた食器の山、たまった洗濯物。

 

 



 

その時、私に、

マシンガンズが降臨したのです。



マックスめんどくせえ!!

マジめんどくせえ!

何もかもめんどくせえ!!

 



顔とか実名とかマジで出すんじゃなかった!

つーか他社の仲人さんみんな普通に出してんだろ!

 

「私だけでしょうか?

こんなに色んな事が起こるのは?」

 

って、

 

だいたひかるじゃねえんだよーーーッ!

 


どーでもいいですよー⭐️って

いいわけないだろうが!



はっ!

そういえば本出すんだった!

売れてほしくない!これ以上めんどくさい事になるのはうんざり!ていうか入っている取材の予定も断りたい!

 

もう日の当たるところに出たくない!これからは公園の大きめの石の下でムカデとして生きていこう!


とりあえず本が売れないように、

ブログから本の宣伝を消そう!

 

 

 

そう思って携帯を手に取った私の脳裏に、

担当の編集さんの姿が浮かんだのです。

 

 




仕事はできるのにちょっと天然な、

いつも笑顔を絶やさない彼女。

 

忙しさでイライラし、八つ当たりする私を辛抱強く受け止め、真夜中まで書き下ろしのアイデア出しに付き合ってくれた彼女。

 

「死んだ!絶対に間に合わない!どうあがいても絶望!」と白目を剥く私を見て、上司に必死に頼み込んで締め切りを伸ばしてくれた彼女。

 

「『蔵飛』のフリガナが『くらひえ』になってるんですけど!」とどうでもいい部分でキレた時も、「すぐ直しますね!」と笑顔で答えてくれた彼女。

 

 

ジャニオタの婚活回を送れば

「めちゃくちゃ面白かったです!」

 

女子は自分のトラウマ喋りすぎ編を送れば

「刺さりましたー!」

 

アプリ婚活必勝法編を送れば

「すっごい勉強になりました!」

 

バツ2女性の婚活回を送れば

「号泣しました!」

 

 

いつもいつも、新しい記事を送るたびに、

即レスをくれた私の担当さん。

 





本を出版する前から、無名の私が書いた本がバカ売れして平積みされた場合に備え、本の周りに飾るポップまで準備してくれていた担当さん。



 

前からずっと私のファンでいてくれて、どこよりも早く出版の話を持ってきてくれた担当さん。





他の大手出版社が「高い印税を出すからウチでお願いします」と勝負してくる中、1人だけ私のブログへの溢れる愛を長文メールで送って来て「私にやらせてください!」と言ってくれた担当さん。

 




「Tさんの文章は、所長のアドバイスは、本当に、本当に元気が出るんです!婚活は落ち込む時も泣きたくなる時もたくさんあるけど、カバンにこの本が入っていたら、きっと闘う勇気が湧いてきます。

 

1人でも多くの婚活に悩んでいる女性に、この本で、前に進む力を与えましょう!」

 



 

そうだ!これしきのことで落ち込んでいる場合じゃない!今の私なんかより、もっとずっと辛い思いをして、何もかも嫌になっている婚活女子がアホほどいるはずだ!

 



私は担当さんと一緒に、

今泣いている婚活女子に、

前を向く勇気を届けるのだ!

 




よし!どんなに忙しくても、取材は全部受けて立ってやる!そのためには体調管理だ!


しっかり寝て体力をつけなければ!

 

すっかり気力を取り戻した私は、

張り切ってお布団にくるまりました。

 

 





遠くから、夫の

 

「〇〇ちゃん!俺、お皿も洗ったしオモチャも片付けてんけど!洗濯はしてくれてもよくない?マジで寝るん!?俺が洗濯も干すん!?ていうか最近〇〇ちゃん家事やらなさすぎじゃない!?」

 

という声が、聞こえたような気がしました。

※でも寝ました

 

 








本の発売日がやってきて、ありがたいことにAmazonの恋愛・結婚ジャンルで一位になり、私のメールアドレスには会員様からもそうでない方からも本の感想のメールが殺到しました。

 



「書店に行ったら最後の一冊でした!買えてラッキーでした!」

 



「会社で独身の友達と回しあってゲラゲラ笑っています!みんなで婚活頑張ります!」

 



「口うるさい母親に読ませたら、死んだように静かになりました。あと3万円くれました。」

 




3つ目のメールにはかなり笑いましたが、

一番笑ったのは30代の男性会員様がくれた

このメールでした。

 



「お見合いでTさんのブログに影響されて婚活を始めたと話したら、なんと相手も読んでいて、所長ってどんな人?Tさんはどんな人?とめちゃくちゃ盛り上がりました!まだ交際が始まって1週間ですが、すごくラブラブです!!



ちなみに、2人とも、

本は買っていません。」

 

 

そこは買えや!!



 

ブログを読んだだけの人ですら、 

こうやって幸せになっているので、


本を買った人には、

もっと凄い幸せがやって来るかもしれません。

 




実はここだけの話ですが、


とある神社で、


本を買ってくれた人の婚活が成功するようにお祈りしてきました!

 


仕事がヤバかった時、不妊で悩んだ時、その神社にお参りしたら解決したので、みんなの婚活も助けてくれるんじゃない?と勝手に決めつけて行ってきました。ちなみに妊娠が分かった時、お礼に賽銭箱の前に供えたお酒をホームレスのおじさんがすごい笑顔で持って行ったのはいい思い出です。

 


とにかく、

金運と福徳円満痔の回復のご利益を謳っている神社なので、



本を買ったらお金と愛に困らないだけでなく、毎朝快便の新婚生活が待っているはずです!

 



ちなみに、

その神社のご利益かどうか分かりませんが、




なんと、



本の重版が決定いたしました!

 



ひとえに皆様のおかげでございます。

 

本を買ってくださった方に、これからも幸せな出来事がたくさん起こりますように。

 



まだの方は、

今から買っても遅くありません!笑

 



アプリでも相談所でも、

今、婚活を頑張っている人が、


万難を排して、前に向かって走り出す勇気が湧いてきますように。



高砂市から、

所長と一緒にパワーを送っておきます!


本日もお読みいただき、

ありがとうございました。



 

次回「趣味じゃない婚活服を着たくないあなたたちへ」