【幻想物語 第3章 第8話】 | 毎日きびきび

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遂に大学生。
気を引き締めていきたいですね。

これまで出会えた全ての人に感謝を。
これから出会っていくであろう全ての人に感謝を。

こんにちわ!


いよいよ対決!!

ガイアとライナ、どちらが強いのか!?


さぁーて、エンジン全開でいきますよぉー!!



スタートアップアップ





幻想物語


第3章 第8話


強いけど弱い、弱いけど強い。



流れていた沈黙は、双方が同時に魔法を放つことによって崩された。


   べリアル

「闇球!


   メリアル

「光球!」



ガイアの左腕とライナの右腕から放たれた、黒と白の球体は、2人が立つちょうど中央で激突し、硝煙とともに爆音を撒き散らす。



その硝煙が立ち込める中、ガイアとライナは既に動いていた。


   スプリット・アーム

「暗撃豪腕!」


    リュドラ・アーム

「麗光明腕!」



黒き炎と白き炎、硝煙の隙間から確認できたそれは、ガイアの左腕とライナの右腕全域を纏っていた。

その拳に渾身の力を込め、双方はそれを相手目がけて放つ。


「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

「はああああぁぁぁぁぁぁ!!!」


その拳は同一直線上で激突、と同時に凄まじい爆音を轟かせる。

その爆音は衝撃波に変わり、室内の窓ガラスを打ち砕く。


落ちてくるガラスを避けながら駆け寄ったリンジャーが2人に向かって怒声を上げる。


「アナタ達!!やりすぎよ!やめなさい!」

だが、その必死の忠告も、2人の耳には届いてなどいない。


2人の集中力は既に頂点に達し、今は相手しか見えていない。


ゴッ、ガッ、と鈍い音が響き、激しい戦闘を示唆する。


すると、2人は突然バッと後ろへ飛び退き、腕を構える。


  ディレクト・フォーザー 

「四突闇弾!」


  エクスティーム・エルウォール

「守護防陣壁!」



ガイアの構えた両腕から、4つのどす黒い球が発生し、それぞれが別々の回転をしながらライナ目がけて飛んでいく。


対するライナが発動したのは、中央に魔法陣が刻まれた、巨大な防壁だった。


魔法陣からクモの巣のように防壁全体に線が伸び、防御力を高める。


4つの球はその防壁に阻まれながらも、防壁を打ち砕く。

だが、球が威力を誇ったのはそこまでで、防壁を打ち砕くと同時にフッと消える。


全くの互角。

そして、一瞬でも気を緩めた方が負ける。

2人の集中力は限界を超え、もはや周りの景色すら見えていない。


時間間隔の延長。その感覚を、2人は味わった。

ライナが以前に体験した、時間が短くなったり、長くなったりする現象だ。



「ライナ君、やるじゃないか。」

「へっ、お前こそな。」

ガイアに対し、怒りを覚えていたはずのライナは、いつの間にか笑みが浮かんでいた。


本気で戦えることに喜びを感じているのだ。


  ストーミール・エルブラスティアン

「嵐撃煉鶯双牙!」


以前、3年生のラナウェルという男子を吹き飛ばした際に用いた、禁術寸前の魔法を、たかが学校の試験で用いる、ガイア。

狼とも、鳳凰とも分からぬ、薄緑色の、悠久なる姿。

それが、ライナに迫る。



  ストール・ディ・ドラグラスティアン

「真嵐龍鶯双牙!」


ライナが放つ、嵐撃煉鶯双牙(ストーミール・エルブラスティアン)と同等の威力を持つ、巨大な風の塊。

それこそが、真嵐龍鶯双牙(ストール・ディ・ドラグラスティアン)だ。


嵐撃煉鶯双牙(ストーミール・エルブラスティアン)の薄緑とは異なり、薄紫色のそれは、龍とも、巨大な鷲ともとれる姿を持ち、ガイアの魔法と激突する。


先ほどとは比べ物にならないほどの硝煙を巻き上げ、部屋の床板をバリバリと剥がす。


  ルシフェル・ヴィエンテ

「魔大封牙!!」


突然、バツンと大きな音を立て、2人の体に大きな魔法陣が刻まれる。

すると2人は途端に片膝をつき、息を荒げる。


「先・・・・・生・・・・・!」

「何するんですか・・・・・!」

嫉みに満ちた目でリンジャーを睨む、ライナとガイア。

勝負に水を差されたことがよほど気にいらないようだ。


「いい加減にしなさい!!やりすぎよ!!」


チッと舌打ちをすると、魔法陣が刻まれた体を起こす。


「なっ、何を!?無茶なことは止めなさい!!」

いつにも増して大声を上げるリンジャーを尻目に、2人は同時にリンジャー目がけて魔法を発動する。


  ギルメニア・ルシルヴィエルダ

「魔禮封円陣!!」


ドンと巨大な音とともに、リンジャーの足元に、2重に重なった魔法陣が現れ、そこから伸びた影が、シュルシュルとリンジャーの体を伝う。


「アナタ達!一体何を!?」


「邪魔、しないで下さい。」

同時にそう言い放つ2人の体は、既に魔大封牙(ルシフェル・ヴィエンテ)の魔法陣から解放されていた。



「目には目を、歯には歯を。封印になら封印を、ですよ。先生が使った封印より、更に巨大な力で封印をかけました。封印(ルシル)シリーズ最強クラス、魔禮封円陣(ギルメニア・ルシルヴィエルダ)でね。」


そう言うガイアの視線は、既にライナに向いていた。


「でも、どういうつもりかな?僕が封印をかけたのに、その上から更に封印をかけるなんて。」

「簡単なことさ。封印ってのはかけているだけで術者の魔力(ディーガ)をバンバン削るだろ?俺はさ、お前と同じ条件で戦えなきゃ意味ないんだよ。」


それを聞くと、ガイアはクスッと笑った。

「でも、君の見栄のせいで、先生、随分辛そうだけど?」

顎でクイとリンジャーの方を示す。

その先にいるリンジャーは、ぜぇぜぇと苦しそうな表情だ。


「だったら、お前をさっさと倒せばいいだろ?」

「おっ、ご明答!」

ガイアは声量を上げてそう言うと、パチパチと拍手をする。


そして、2人の目つきが、また鋭くなる。



  ガルリュード・ショット

「闇龍破撃!!」


  レイリュード・ショット

「光龍破撃!!」


以前、「実力を見る」と言われたときに見せた、冥王牙狼龍(ガジラ・ウルフドラゴン)と希光霊羅龍(エリュード・レイレドラゴン)の頭部を模した一撃が、それぞれの胸から放たれる。


室内が黒と白に照らされ、右側が黒、左側が白に彩られる。


生徒たちは一箇所に集まり、何重にも防御壁を張っている。



「しつこいな、ライナ君。いい加減負けちゃいなよ。君は僕よりも弱いんだからさ。」


「黙れ、ガイア。そう言うお前こそ諦めろ。お前は、誰よりも弱い。」


「僕が弱い?何言ってるの?僕は誰よりも強いよ。」

「あぁ、お前は強い。強いけど、弱いんだ。」
わけが分からない、といった表情になるガイア。


「『強いけど弱い』だって?意味分かんないこと言うなよ!」

「そうだ、お前なんかより、ヒデトや蓮香、レナにアスカ、アルル、イヴァン。あいつらの方が、俺達よりもずっと強いんだよ!」


「あんな奴らが強い!?ただ群れてるだけじゃないか!ただ群れて、ピンチになれば容赦なく切り捨てる。そういう連中じゃないか!!」

ライナの前で、始めて怒声を上げるガイア。


「違う!!そういう意味じゃねぇんだよ!!お前はいつだって1人だろうが!1人じゃ、永遠に孤独なだけだろ!!1人じゃできないことでも、集まればできるんだよ!心の繋がりが、力を生むんだ!!」


「心!?そんなものが力を生むわけがない!!『集まればなんでもできる』だって!?それって裏を返せば、『1人じゃ何もできない』ってことじゃないのか!!」

息を荒げ、大声で怒鳴る、ガイアとライナ。

それぞれ、全く違う意見を発している。


『皆でなら苦難を乗り越えられる』

『1人で乗り越えられなきゃ意味がない』

どちらも、意見としては妥当だ。


どちらも正しい。

だが、正しいことは1つでなければならない。

それを決めるのは、この戦いの勝者だけだ。


「じゃあ、次で“シメ”だ。」

「あぁ、いくぜ、ガイア!」



  ダークライズ・アブソリューガナイラ

「闇剣撃極暗牙!!」


  シャインライズ・アブソリューガメイラ

「光剣撃極明牙!!」



柱の如く湧きあがった、漆黒と純白の魔力(ディーガ)。

その湧きあがった力は、それぞれの掲げられた腕へと吸い込まれ、剣の形を作り上げる。


そうして出来上がった剣は、ぼんやりと輪郭がはっきりしないような剣とは違い、ハッキリと刀身を示す、巨大なものだった。


どちらも、ランク9。

しかも、現在世界政府本部で、禁術指定にすべきかどうかを話し合っている最中なのだ。

即ち、『使うことを許された禁術魔法』と言っても過言ではないほどだ。



コォォと高周波の音を放ちながら、それは輝く。


「いくよ。」

「あぁ!!」


  ソニック

「瞬風!」



魔法名を言い終わると同時に、緑色の魔力(ディーガ)が2人の足を覆う。

光ノ道(リヒト・ロディア)よりも無駄がない、風の移動魔法だ。



2人はシュン、と音を立て、立っていた場所から消える。


刹那、アスカには2人の動きがまるでコマ送りのように見えた。

そう、『時間間隔の延長』だ。

何が原因かは分からないが、時折このような現象に見舞われることがある。



「うおおおおおおお!!!!!!!!」

「はあああああああ!!!!!!!!」

双方の手に握られた剣が、更に輝きを増す。


そして今、頂点が決まる。

剣が振り抜かれ、凄まじい速度で激突する。



その瞬間、爆音が大講義室を貫き、壁をメキメキとしならせる。

窓ガラスは全て吹き飛び、床板を全て吹き飛ばす。

何重にも張られた防御壁は、全て砕かれる。


果たして、どちらが立っているのだろうか。

立ち込める硝煙が晴れるまでは、誰にも分からない。



しばらくして、硝煙が晴れたとき、立っていた者はいなかった。

そう、見事なる、引き分け。


どちらも肩から胸にかけて傷を負い、出血している。

頭を向け合ったまま、倒れ、空を見上げている。


「はぁ・・・・はぁ・・・・・・。や、やるじゃないか、ライナ君。」

「ふぅ・・・・・・・・・。お、お前もな、ガイア。」

フッと笑みが零れ、その笑みは大きな笑い声に変わる。


ガイアも、ライナも、心から楽しめた戦いだ。

「ライナ君。なんか、勝ちにばっかりこだわっていた僕が馬鹿らしく思えてきたよ。」

「奇遇だな、俺もだ。お前をブッ飛ばすことばっかり考えてたけど、どーでもよくなってきた。」


動かない体を横たえたまま、天井に空いた大穴から空を見上げている。


「その・・・・・・よろしくね、ライナ君。」

「あぁ?あ、あぁ。ヨロシクな、ガイア。」

そう言うと、再び高らかに笑いだした。




第3章   第8話   完





引き分け!!!

まさかの結末!!

でも、仲良くなれて良かったな、ライナ、ガイア!!!


あっ、でも、教室一個潰しちゃって、大丈夫かな?


次回で【第3章】は終わりとなります!!

そして、【第4章】から遂に動き出す、【幻想物語】の世界!!

乞うご期待!!


では、あでゅーо(ж>▽<)y ☆





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