【幻想物語 第3章 第5話】 | 毎日きびきび

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遂に大学生。
気を引き締めていきたいですね。

これまで出会えた全ての人に感謝を。
これから出会っていくであろう全ての人に感謝を。

こんばんわ!


最近、学校の友達に「式神のブログ見たぁい♪」などと言われることが多く、どこから情報が漏れたのかが未だ謎ですwww


あと、どーでもいいことかもしれませんが、【幻想物語】を書き終わらない内から、新たな小説のアイディアが出てきている状態ですww

どーしましょうか?


まぁ、それはさておき、小説更新です♪


前回、というか昨日、ライナと交代したアスカ、果たして勝ち目はあるのでしょうか?


前回と同じく、誤字脱字があれば遠慮なくコメントして下さい


ではでは、スタートアップアップ





幻想物語


第3章 第5話




第3魔神


水の鷹、氷の鷲と炎の狼、両者が激突する瞬間、激しい温度差から水蒸気爆発を引き起こし、爆音とともに水蒸気がグラウンドを覆う。


その水蒸気が晴れない内から、バレットとアスカは動きだしていた。

土を蹴る音、鈍く響く殴打の音、水が飛び散り、炎が燃え盛る音、水蒸気が晴れるまでの間、わずか10数秒。その間に、高速での戦闘が続く。

元来、近接戦闘に向かないアスカは、水で肉体を強化し、極力超接近戦は避けるようにしている。

対するバレットは、喧嘩慣れし、明らかにアスカの間合いの中に高速で詰め寄ってくる。

すなわち、戦う土俵が元来異なるのだ。


水蒸気が晴れ、やっと2人の姿を確認できるようになると、負傷した姿が現れた。

アスカとバレット、どちらも負傷している。

はたから見れば、痛み分け、というところだろうが、明らかにアスカの方が苦しそうな表情を見せている。

当たり所が悪かったらしい。

対するバレットは、負傷こそしているが、ごく軽傷、といったところだ。

さすが、戦闘慣れしているだけのことはある。



「へっ、どうしたどうした!もう息が上がってるぜ!まさか、あれだけの殴り合いでもうバテたのか?こりゃ、ライナとかいう奴の方がまだマシだったぜ!!」


だが、アスカはこれに対し、冷静に応対する。

「そう・・・かしら?アタシがなんでこんなに距離をとったか分からないの?アタシの専門は遠距離戦闘、元来、近接戦闘向きじゃないのよ。だから、今こそ本気で戦える!」

 

  ガーメント・クラッチバウント

「濁流剛塵破!!」


藍色の魔力(ディーガ)が茶褐色に染まり、アスカの頭上で球を描く。


世界政府の護送車から逃亡する際使ったときよりも、はるかに威力が増しているように見える。


「喰らいなさい!!」


    テオ・カットラス

「複濡演武!!」


アスカの体から、先ほどとは違う、紫に近い色の魔力(ディーガ)が噴出し、風切り音とともに水球に切れ込みをいれる。

と同時に、水球は小さく分裂し、茶褐色の複数の水の塊となった。

「この演武から、逃げられるものなら逃げてみて!!」

掲げた両腕を振り下ろすと同時に、アスカの頭上を舞っていた、複数の水球が一斉にバレット目がけて飛んでいく。

その速度は凄まじく、一瞬でバレットの下に到達した。


「よし!」

ライナも思わずガッツポーズを決め、勝利を確信した。

アスカも、勝ったと思った次の瞬間、激しい爆音が2人の鼓膜を振るわせる。


 デーリティ・ファーストギグ

「鬼憑型・序!!」

バレットが叫ぶと同時に、バレットの左足から激しい炎が立ち上がり、アスカ渾身の水球を蒸発させる。


バレットの履いていたレギンスの左足だった部分は焦げて燃え尽き、肌が露出している。

そこには、ライナとアスカがよく知る、禍々しい文様がはっきりと浮かんでいた。


ボコボコと嫌な音を立て、炎に包まれた左足は表皮を変化させていく。

火山地帯に住まう、龍のごとく変化した左足は、コシューコシューと蒸気をあげている。

空気中の水分さえも蒸発させているのだ。


「お前ら相手にこの姿になるとはな・・・・・・」

「お前・・・・それ・・・・なんだよ・・・?」

尋ねているのか、確認しているのかはライナ自身分からなかった。


「これか?グランの力の一部だ。醜いだろぅ?


ライナもアスカも、言葉が出なかった。

2人が我を忘れたときに一度だけ垣間見せた力を、バレットは意図的に、しかも自身の意識を保ったまま発動させたのだ。


「俺の中には『魔神』とかいう化け物がいてな、ソイツの力を引き出した。それが、鬼憑型・序(デーリティ・ファーストギグ)だ。お前らに勝ち目はねぇよ。」


その光景を見た2人は、目の前で起こったことに驚愕し、握りこぶしを固める。

その手をカタカタと震わせながら、このままでは確実に殺されると恐怖を抱いた。




「ケルベロス、頼む、今だけでいい。その力、貸してくれ。アイツと同じ力を、俺にくれ。」

小さい声で、ケルベロスに懇願する。

横を向けば、アスカも同じことをしているようだ。

「ク―エリア、お願い。アタシに力を託して。アナタの力、アタシに委ねて。お願い。」


ケルベロスの「わかった」と、ク―エリアの「しょうがないわね」という声が聞こえたのは、ほぼ同時だった。

その声が聞こえた直後、2人の中で何かが解き放たれるのを全身で感じた。

何か、とてつもなく大きな力がこみ上げてくる。


  デーリティ・ファーストギグ

「鬼憑型・序!!」



  デーリティ・ファーストギグ

「鬼憑型・序!!

神々しい魔力(ディーガ)と、鮮やかな魔力(ディーガ)が、それぞれの右腕と左胸から噴き出ると、全身を覆い尽くした。


白く、眩い光に包まれ、神々しい暖かさを持つ、ライナの右腕。

アスカのそれは、左胸から両腕に広がり、両肘までを覆う。

鮮やかで、繊細で、優麗なる空気をつくる、アスカの力。


真に引き出すことができた、魔神の力。

怒りにさえ身を任せなければ、こんなにも素晴らしいものなのだ。


「なん・・・で・・・・?この前はあんなにどす黒かったのに?」

ライナが驚き、呟いていると、実に久しぶりに、ケルベロスが意識の中に語りかけてきた。


お前は何か勘違いをしている。お前の適合属性は、風と闇じゃない。風と、光だ。俺の力を真に理解しないうちは闇に踊らされる。だが、こうしてお前は、俺の真の力の片鱗を引き出すことができた。すごい進歩じゃないか。


『へっ、お前に褒められても嬉しかねーんだよ。』

ニヤリと笑って悪態をつく。



『ありがとう、ク―エリア。力を貸してくれて。』

どーいたしまして。やっと分かってくれたのね、力の使い方。

『えぇ、ありがとう。』

アスカはクスッと笑い、バレットに向き直る。


喜びの表情を見せるライナとアスカとは別に、バレットは驚きと困惑の表情を隠せないでいる。


「なん・・・・だと・・・・・。なんだよ、それ!?なんなんだよ!!この力は、俺だけのものじゃないのかよ!?答えろ、グラン!!」


「俺たちも、鬼人だ。だから、お前を止める。“同じ側の人間”として。」

「いくよ、ライナ君!」




  シャイン・ドラゴニア

「光撃矢龍!!」


  アクア・ドラゴニア

「水撃矢龍!!

ライナとアスカの腕から放たれた、光と水の龍。

2つの龍は、互いに身を回転させながらバレットに迫る。


「く、くそおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


  マグナ・エルウォール

「炎鶯壁陣!!!!!」


バレット渾身の炎の壁がバレットの姿を一時的に見えなくさせる。

魔法陣が刻まれた、炎火の壁。

ランクは7であるにも関わらず、2つの龍は、一瞬速度が落ちただけで、いとも容易く打ち砕いた。


激しい轟音とともに、土煙が上がり、勝敗の行方を分からなくさせる。



「風嵐(ウイニング)!」

ヒュイと指を曲げ、ごく弱い突風を起こし、土煙を吹き飛ばす。


煙が晴れ、勝敗が明らかになる。

そこには、ほとんど無傷のバレットがいた。

傷を負っていないことに、誰よりも驚いたのはバレット本人だった。


「なんで・・・・怪我してねぇんだ・・・・」

自分の体を見て、ポツリと言った。


「攻撃が当たる直前に、俺らの意志で消したんだよ。」

鬼憑型・序(デーリティ・ファーストギグ)を解いたライナが、そのことについて釈明する。


「なんで手なんか抜きやがった!!?お前の勝ちだ、好きにすりゃいいだろうが!!」


「だから、好きにしたのよ。」

アスカも会話に加わり、あっさりと答える。


「ふざ・・・けんな!!家族もいねぇ俺なんか生かすんじゃねぇよ!!」

唇を固く噛みしめ、わなわなと震えながら、心にもないことを言う。



「それこそふざけないで!!」

アスカが息を荒げてバレットを叱咤する。


「アナタは逃げているだけ。現実から逃げているだけなの。絶望だけで世の中を見たら、ホントに絶望しか見えないよ?けど、希望を持って世の中を見れば、普段見えなかった小さな光だって見えるの!アタシは、そうやって助けられた!怖い現実、逃げたい現実、目を背けたくなる現実、いっぱい、いっぱいあるよ?だけど、負があれば正もあるの!負と正は対。負があれば正があり、正があれば負がある。絶望しかなかったアナタの世界も、きっと光はあったはず!どこかで、手を差し伸べてくれた人がいたはずなの!その人の手を素直に受け取らなかったのはアナタ!アナタはそうやって現実から逃げて、暴力に走っているだけ!!創造するのは大変、でも破壊するのは簡単、でしょ?アナタはすごい力を持ってる。だったらそれを、破壊じゃなくて創造に使おうよ!罪を犯したなら償えばいい。過ちを犯したなら償えばいい。償って、やり直せばそれでハッピーエンド、でしょ?」


「・・・・・・・・・」

悲しみの表情を見せたバレットの頬を、冷たい、水が流れ落ちる。



長く、それを流したことはなかった。

いつからなのだろう?バレットがこの水を流さなくなったのは。

そのときから溜まっていた悲しみが、アスカの言葉で一気に解放される。

心の呪縛から解き放たれ、本能のまま、涙を流す。

それは止めどなく溢れ、地面を濡らす。


「ちくしょお・・・・・ちくしょう!!!」

声を震わせながら、自分のしてきたことと向き合う。



涙が枯れるまで、声を荒げて泣くと、その重たい体を起こし、その口をゆっくりと開いた。


「あり・・・・・がとな。」

「どう、いたしまして。」

にっこりと笑い、天女のような笑みを零す。


「ライナ、お前も、ありがとな。俺を止めに来てくれて。おかげで、目が覚めたよ。」

「あぁ、どういたしまして。」

照れくさそうに頬をポリポリと掻きながら、バレットの礼に対しての返事をする。


「もうちょっと早く、お前らと出会いたかったな。けど、もう遅いんだな。」

それに対し、アスカはううんと首を振る。


「そんなことないよ。大丈夫、きっとやり直せる。罪を償ったら、3人でどっか遊びにいこ?」


「あ、あぁ!!」

この時初めて、バレットは心からの笑顔を振りまいた。

その心から絶望は消え去り、あとには希望が湧き出ていた。



「それじゃあな、ライナ、アスカ。このまま自首しに行くよ。」

その顔には、先ほどまでの暗く、重い影はない。

全て、アスカが洗い流したのだ。

以前、ライナがそうしたように。


「あぁ、じゃあな!」

「元気でね。」



「おう!お前ら2人とも、なんかあったら俺を呼べよ!!」

大きく手を振り、駆け付けた警察に抵抗することなく身柄を拘束された。

パトカーに乗せられる直前、ライナ達に見せた最後の表情は、笑っていた。

きっと、この世に見え始めた、希望に気づいたらしい。


それを見ていると、ライナ達にも笑顔が零れる。



「っさて!ライナ君、買い物行くよぉ!!」

先ほどまで心に染みる言葉を言っていたにもかかわらず、既に心は別のところにある。


「おう!!食いたいもん食って、買いたいもん買うぞコノヤロー!!!」

アスカの手を引っ張り、駆け出すライナ。

その先にはきっと、希望が詰まっている。




第3章  第5話   完




アスカ―――!!!!!

お前良い奴だなコノヤロー!!

バレットも、希望を手に入れられて、良かったなぁおい!


超絶ハッピーエンドだな、今回はヾ(@°▽°@)ノ

うんうん、このテンションのまま、どんどん突っ走るぞー!!



では、あでゅーо(ж>▽<)y ☆




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