夫の第二の人生は
とある施設の警備で
仕事は夜勤のみ
現役の時と変わらず
NHKの時報のごとく
午後7時ぴったりに家を出て
翌朝9時に職場を出て
遅くても9:30には
帰宅している
たまにスーパーやドラッグストアで
買い物をして帰るくらいで
365日昼間は家にいる
シャワーを浴びて
洗濯や掃除をして
お天気が良ければ庭の手入れをし
あとはBSを見ながら
夕方までうとうとしている
私も子供たちを幼稚園や学校に
送り出した後は
そんな生活だったなぁと懐かしい
まさか夫婦逆転の日がくるなんて
想像もしてなかった
主夫としての働きは完璧で
これも長い単身生活の賜物だと
つくづく思う
いつ独りになっても大丈夫だ
現役時代と逆の生活になって
まもなく半年
私もようやくそんなリズムに
慣れてきた
収入も仕事も大幅にダウンしたけど
これで良かったと思っている
頑張りすぎや無理は
もうしたくない
私は今に充分満足している
そんな穏やかな日々に
たまに孫が遊びに来る
じぃじが準備したプールで遊び
お風呂でままごと遊びをして
私が作った夕飯を食べ
折り紙やお絵かきをして遊んで帰る
ま、毎回こんなパターンです
先日のこと
午後7時
仕事に出るじぃじを
「行ってらっしゃい、お仕事がんばってね」
「プールありがとう」だの
「また、おままごとしようね」だの
上手いことじぃじを転がし
あざと可愛くお見送り
さ、この潮で君たちもお引き取りを…
と思っていたら
5歳のお嬢
私の耳元に近付いて
小さな声で聞いてきた
「あのさ、ばぁば
じぃじの本当のお仕事って
スパイなんでしょ」
「え、なんで?」
「だって夜しかお仕事行かないんじゃん」
真面目に答えるのもつまんないから
「え、知ってたのそうよスパイよ」
誰にも言わないでよ㊙️
パパやママにも内緒よ」
「うん、わかってる」
ドヤ顔でニヤリと笑った
もうね、5歳といえども女ですよ
でも所詮子供……
お腹よじれそう
すかさず
じぃじにラインしたら
「ロシアのスパイってことにしといて」だって
怖いわ
空港で毒殺されたり
飛行機が爆破されたりするやつよ
ええ
テレビの見過ぎです(笑)
そんな我が家の諜報員
今夜も
おやつとお茶を持って出動です
警備の仕事してると思ってるのは
私だけで
仕事してるところを見たことないから
ホントはスパイなのかもしれない(笑)
イーサン・ハントかよ