私が高校2年生の時
父の事業が失敗して
私たち家族は夜逃げ同然で故郷を出た
大手を振って歩ける街ではないけど
月日とともに後ろめたい気持ちも薄れ
40年ぶりに妹と秋祭りに出かけた
これは昔はなかった気がするけど
どこかの町内に属してるのかな?
一台だけ趣きが違っていた
そして、少し驚いたのは
だんじりの上に女の子が乗っていたこと
中学生の頃
どうしてもだんじりを担ぎたくて
そして上に乗りたくて
同じ町内の友達と秘かに準備を進めていた
だけど“女人禁制”を理由に
計画は中止となった
もうそんな事
気にする時代ではないのかもしれないけど
お祭りはある種
『神事』だと思うので
少し違和感を感じた
全国の有名な祭りも
そこは男たちが頑なに守っている
なんでもかんでも男女平等は
反対派の私である
それでも40年ぶりの鐘と太鼓は
こんなおばさんでも血が騒ぐ
かつて同級生の男子達が
この日だけは
妙に大人っぽく
そして男らしく見えた
そんな姿を探してみたけど
40年はあまりにも長く
遠い昔になってしまって
残念ながら誰一人
見つける事はできなかった
そして、かつて
町中に祭りの季節を知らせていた
キンモクセイも
温暖化の影響か、まだどこからも
匂ってこない
廻らないお寿司を
食べれるようになったけど
やっぱり
秋祭りには母の作った
『ばら寿司』が一番のご馳走だったなと
ちょっとおセンチになって
故郷をあとにした